2004-11-15
日々、思い出の積み重ね NO 976
一昨日に司会を担当したご葬儀、上品なイメージのご遺影。後でご近所の方から伺った情報によると北海道ご出身で「元ミス**」だったそう。喪主様がわざわ ざ事務所までご精算にお越しくださって恐縮、そんな話題で昔話を拝聴したが、ご祭壇のイメージをえらくお気に入りくださってホッとした。
さて、4日越しのご葬儀を担当申し上げているが、ご導師からお電話を頂戴し、スタッフが「白木の位牌」を遠方のお寺様に届けに行った。
こんな場合、いつも2本を持参することにしている。白木に筆で文字を書いた人なら理解出来るだろうが、これがなかなか難しいもの。1本予備があるだけで、ミスのパーセンテージが大きくダウンするという体験からの発想。
古い話だが、式場の入り口に「故**儀告別式場」と表記する白木の板、喪主様から「立派なものを」という条件が付されたことがあった。
そこで10センチの厚みのある超ロング「檜板」を倉庫から取り出し、知り合いの大工さんに鉋掛けをお願いして「つるつる」になるまで綺麗に仕上げた。
条件に至った背景だが、参列される親戚の方に日本の著名な「書の大家」がおられるそうで、私をはじめスタッフ一同が興味深く筆芸術を心待ちにしていた。
お飾り付け当日の朝、その方が墨と筆をご用意されたが、硯などすべてが初めて目にする立派なもの。やがて墨の準備が完了。1枚の半紙に下書きした文字をご 覧になり、「こういうものは単なる看板ではないので一気に書き上げなければならない」とおっしゃると同時に筆を走らせた。
「凄い、芸術だ!」と誰もの目が訴えている。故人名から告別式場まで見事に書き上げられ、後は下側に少し小さ目の文字で「**家」と入れるだけだ。
そこで私に不安が過ぎった。残されたスペースに入る文字の大きさを考えるとバランスが悪くなるから。
不安は、残念にも的中してしまった。書き上げられた後「うーん、ちょっとまずいな?」とのお言葉。続いて「こんな板、もう1枚ないかな?」ということに。
この板、当時で確か100万円前後はした高価なもの。8センチや6センチの厚みのものはあるが、超ロングで10センチの厚さなんてこれだけ。仕方なく事情を説明申し上げ、持ち帰って削り直して持参することでご了解を得た。
再度お願いした大工さん。「まあ、えらい文字ですな!これ、芸術みたい。本当に削ってしまっていいの?」と念を押されたが、それは私の思いも同じだった。
一方で、今日の夜、スタッフから嬉しい報告があった。昨日の号外「記念講演会」だが、早速にお申し込みくださった方々があったそう。そんな中、過去に弊社が担当させていただいたお客様からのメールも頂戴していた。
どんなお話しが出来るかプレッシャーがあるが、神戸の吉田社長と2人で懸命につとめたい。
取引先からの情報によると、同業者の皆さんの出席もあるようだが、過去の歴史と体験だけは真似の不可能な世界でもある。大歓迎でお迎えしたいと考えている。