2002-03-15

ブライダル「司会者」・・・研修から

多くのホテルさんとの関係が結ばれることによって、ブライダル司会者さんや電子オルガンの奏者さん達との交流も始まった。

 ある時、今後に求められてくる「お別れ会」「偲ぶ会」などの司会の必要性から、大手派遣会社の依頼で「司会セミナー」の講師を担当することがあったが、当日に会場に行ってみると80人ぐらいも集まっておられ、その興味の大きさに驚いた。

 協会の「コラム 有為転変」3月9日、10日に「ホテルスタッフ研修」をしたためたが、その時のホテルと同じ雰囲気が会場に流れ、冒頭でかみついてしまった思い出が懐かしい。

出席者の大半は女性で「私達は司会のプロよ。ちょっとお葬式のことを教えてくれたら、明日から司会を担当できるのよ」という空気が伝わってくる。

「結婚式の司会が出来る人、挙手をください」そんな問い掛けに対して、全員の手が挙がった。「もう一回、訊ねます。結婚式の司会を・・」今度は数人の手が下ろされていた。
「今、手を上げなかった方が、プロの司会者です」そんな言葉で会場に緊張が走る。

「世 の中のサービス業で上位ランクされるのは、ホテルマンと航空機のパーサーでしょう。しかし、もっと上にランクされるサービス業、それが司会の世界なので す。気配り、心配りをもちろん、与えられた時間をただ一人で担当する「式」に従事する仕事、それは究極のサービス業なのです。そんな皆さんの携帯電話はマ ナーモードになっているでしょうが、一流のプロは、このセミナー時間は電話に出ないというマナーを理解されなければなりません。まず、マナーモードにされ ていない方は、この会場から出てください」

 無言の緊張の中に、視線を私に向け、机の下で手作業が始まっている。中にはスイッチを切ってしまった人もあった筈だ。

「先 ほど、結婚式の司会が出来る人は、と言った質問の意味が解りますか。もうお分かりですね。皆さんは結婚式の司会者ではないのです。披露宴の司会者なので す。私は、クリスチャン、神前、仏前など、すべての司会を行います。なぜ、この確認を冒頭にしたかというと、葬儀は披露宴ではないのです。つまり、宗教者 の存在される結婚式の方なのです。
宗教の理解なくして葬儀の進行に携わることが可能でしょうか。トークの技術以前に勉強しなくては絶対に無理なこ とです。ましてやホテルで多くなっている無宗教形式となれば、単なる進行係りではなく「司式者」のパワーも求められてくるのです。それが、故人を「送る」 「偲ぶ」集いの最低のマナーです。もしも無宗教の方が簡単と考えておられる方がおられたら、すぐに意識改革の必要性があります。と言ってもご理解は無理な ようですので、ここで私が担当した無宗教形式のビデオ映像を見せてあげます」

 そこから、約5分のダイジェストの放映を行ったが、映像に注がれる視線は興味を飛び越え、単なる参列者の世界へと「どっぷり」と、導かれてしまっていた。

 「ご覧になっていかがですか、無宗教が簡単と思う人は挙手ください」
 「・・・・・・・・」 
 「無宗教の司会が出来ると思う人、挙手ください」 
 「・・・・・・・・」
「お葬式の司会なんて簡単。ちょっと教えて貰ったら可能と思われる方は?」
「・・・・・・・・・」
「では、葬儀の司会は難しいと思った人は?」
 そこで全員の手が挙がった。

 多くのセミナーを担当するが、2時間の言葉の講義よりも、たった3分間の映像を体感させる方が確実に伝わる。そんな体験を多くしてきたが、そのセミナーの最後に提議した下記の言葉に衝撃を受けたと、多くの受講者から後日に聞かされたことが嬉しい。

<披露宴のミスは、謝罪の対象となる方がすべておられる。葬儀のミスは、この世におられない方には謝罪の方法がない。「亡くなった母が悲しんでいると思います」。そんなお言葉に、どのような対処ができるのだろうか」
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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