2002-07-21

扶養家族    NO 141

昨夜、久し振りに友人の割烹に行った。入り口に置かれている招き猫に挨拶しながら席に着くと、目の前に新しい招き猫が置かれていた。

 それは通信販売の広告で何度か見たことのある「お願い猫」。
両手を合わせてのお願いポーズ。金色の鉢巻を締め、肩からポシェットをぶら下げていた。

「可愛い」と思いながらしげしげと眺めていると、友人であるオヤジが、それがお客さんからのプレゼントであると教えてくれ、他のお客様がおられるにも拘らず、「招き猫を置けない職業」と、私のことをからかった。

  こんな発言を耳にされたお客さんに、「何の仕事ですか?」と問われるのは当然で、悪乗りしたオヤジは、続いて「えべっさんにもいけない仕事です」と言った から大変。そのうえに「正解者にはビール1本進呈」ときたからたまらない。酒の肴というひとときを過ごす羽目になった。

 確かに我々の職業は、上述の通りであり、人の不幸や悲しみを生業としているが、しばらくして「葬儀屋さん」という正解が出た後、彼は、私のプロ意識に付いて10分間ぐらいの演説をぶってくれたので許すことにした。

 さて、今日の朝、とんでもないことが発生した。早朝から散歩に出掛けていた妻が、掌に乗るような子猫を拾ってきたのである。

 私の自宅には大きな猫が2匹おり、障子、柱、壁紙はズタズタ。いずれも拾ってきて成長した猫達の仕業だが、また扶養家族が増えたことになる。

 子猫はまるでパンダのような色合い。ミルクを飲む姿を目にすると、もう捨てて来いということが出来ない。

 私は動物を嫌いではない。しかし耐えられないことがある。それは「死」の訪れで、言葉が喋られない動物達の死が無性に悲しくなってしまうのだ。

 もう1ヶ月も経てば家財道具の傷が増えることになるだろうが、共に過ごした動物達の生きた証とのプラス思考で考えることにしている。

 明日は、お寺様の団体への講演。朝から資料作りをしなければならない。

この独り言をパソコンに打ち込んでいる足元で、凶暴性のある悪猫がじゃれている。
この猫は撫でる仕種でもすれば大変。瞬間に翻って強烈な爪で攻撃を受ける。
内緒の話だが、私だけが、この猫の名を「妻の名前」に命名している。

 果物屋さんからいただいたダンボールケースの中で、子猫がガサガサと音を立て、寂しげな泣き声を上げている。まだ母猫から離れる時期でないことは確実。当家の悪猫は、絶対に母の役目をすることはないだろう。

 悪猫から守る。それが当分に課せられた拾い主の義務であり、所帯主としての責任だと思っている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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