2003-11-29
ハプニングと奇遇 NO 620
去る11月19日、20日と、読売、毎日、産経、日経の東京版に、とんでもない事件が報じられていた。
事件が発生したのは、今年の7月。ある都立の病院で信じられないことが。
それぞれの見出しは、次のようになっていた。
『遺体取り違えて葬祭場に搬送 火葬前、遺族気づく』
『患者の遺体取り違え 委託業者、遺族に誤搬送』
『遺体搬送取り違え 同姓、業者が誤る』
『遺体取り違え葬祭場に搬送 契約業者ミス』
これで、もうお分かりだろうが、同じ日に同姓の方が相次いで亡くなり、地下の霊安室に安置されたご遺体を式場に搬送する際、誤って別人を寝台自動車に乗せて行ってしまったのである。
それが別人であると発覚したのは葬祭場、納棺の際に遺族が気付いて大騒動になった訳だが、これもマンネリの中で発生した取り返しのつかない大ハプニング的なミス。遺族、業者の驚きは想像を絶したことと拝察する。
私は、昔から全国の業者さんたちとの交流があり、多くの会社に参上した経験がある。
そんな「えにし」に結ばれたのは講演活動からだが、あちこちで人に言えないミスを伺ったこともあり、それらを書くだけでも一冊の本が完成するだろう。
悲劇の裏側に秘められた滑稽な喜劇も山ほどある。しかし、引退するまであまり強烈なことは書けないので、時折に柔らかく紹介していきたいとは思っている。
さて、世の中には偶然というか不思議なこともあるので紹介しよう。
数年前、大阪の火葬場で柩を納め、炉前での挨拶を終え、参列者を案内してバスに案内している時だった。
乗車人数を確かめたら数人足らない。<お手洗いかな?>と思って引き返したら、その方々が、ある炉の前に集まっておられる。
その回廊には20を数える炉が存在していたが、それは、さっき納めた炉のすぐ近く。
私を見つけた方が手招きで呼ばれ、急いで行って見ると驚く事実に遭遇した。
何と、私が担当した方と同姓同名の名札が別の炉に掛けられてある。職員に確認したのは言うまでもないが、職員たちは、次のように返された。
「私たちもびっくりしているのです。決して2枚の名札を掲示したのではありません。間違いなく同姓同名の方がお二人あり、こちらの関係者は先ほどお帰りになりました」
事実は小説より奇なりという言葉があるが、帰路のバスの車中は、その話題で持ちきりだった。