2002-05-23

「学び」 の車内     NO 83

朝10時から夕方の5時まで、昼食休憩の1時間を除いて6時間というセミナーを担当したことが何度かある。
 
葬 祭哲学、葬祭心理学、葬祭サービス学、葬祭演出、音楽、プロデュース学、司会学など、総合的な研修をする訳だが、普通なら数人の講師を準備しなければなら ないのに、「あなたなら1人で全部を担当できる」という便利さで私が選出され、主催者がセミナー開催案内をしたら、予想以上の受講者が全国から参加され驚 いた。
 
ある地方で葬祭業者さん向けの2時間講演を終え、会場内のティラウンジでお茶を飲んでいたところ、数人の受講者が同席を希望され、いつの間にか20人ぐらいの2次会講演になったこともあった。
 
その時、30歳ぐらいの方が「これまでの葬儀の仕事でのご自慢は?」という質問をされ、しばらくお茶を濁し?ながら時間稼ぎをしていると、受講者達それぞれが、勝手な推測を持ち出してこられた。
 
「100回以上もテレビ出演をされていることですか?」
 「司会が日本一と言われていることですか?」
 「著書を出版されておられることですか?」
 「作曲や演奏をご自分でされることですか?」 
 
かなり詳しい情報を持っているなと思ったが、考えてみれば、すべて主催者が講師紹介で言ったことばかり。すぐに、それらは私の自慢や勲章でもなく「単なる歴史でしかない」と否定した。
 
その後に私が話したことは自慢話ではなく、葬祭業に従事してきた下記のような「誇り」であり、それは受講者達に強いインパクトを与えたようだ。

* 10000名様以上の葬儀の司会を担当した。
* 4000名様以上を火葬場まで随行して納めた。
* 3000名様以上のお骨あげに立ち会った。
* 1000名様以上の方のお骨あげを自身で行なった。

 しかし、現在の私を葬儀<者>として導いてくださったことが、もうひとつある。

それは、ご出棺から火葬場を往復する車の運転で、宗教者、葬儀委員長、喪主様などが車内で交わされるる会話。これほど勉強になったことはないだろうし、何よりの宝であり誇りと思っている。
 
これを始めるきっかけは、ふとしたことだった。

関東や地方の葬儀では、霊柩車の助手席にご遺族が乗られることが多いが、大阪では大半が葬儀担当者となっており、私も助手席で運転手さんとの世間話を交わしていただけであった。
 
そんな時、後ろに続くハイヤー内での会話に興味を抱き、ハイヤーの運転手さんに懇願して情報収集にあたったが難しく、専用の車を購入して私自身が運転することを始めた。
 
それは、クラウンにロイヤルサルーンが登場した頃に始まり、数台の乗り換えの後センチュリーに変わり、また数台の変遷の後、キャデラックのフルサイズとなったが、車の変遷は私の歴史であると共に「学びの車内」という誇りとなっている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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