2002-05-21

ゴルフの思い出

数日前、日本トータライフ協会HPの「コラム 有為転変」で、日本のゴルフ場発祥の地である「神戸ゴルフ倶楽部」での体験談が、3日間シリーズで登場していた。
 
8人で行った内の1人が私で、初めてラウンドすることになった人達には、衝撃的な体験となったようだ。
 
ゴルフに行けなくなって、もう1年半。何れ歩くことを目的に再開したいと思って入るが、なかなかその機会がなく淋しい。
 
これまでに、ラウンドをご一緒した方々のご葬儀を何十人も担当したが、コースを回っていると、その人とのあの日の光景が浮かび懐かしい。
 
特に、名物ホールと呼ばれるところでの印象は強く、あの方はこのあたりでセカンドショットを打たれ、あそこに飛んだということも思い出すから不思議だ。
 
印象に残っているホールとして、奄美大島のゴルフ場の13番か14番ホール。ティーグランドに立った時の絶景は今も鮮明に残っている。

180度がすべて海、それも見渡す限り水平線。左側が東シナ海、右側が太平洋と説明されたキャディさんのことも覚えているが、そこで豪快に海に向かってOBとなった方も、もうこの世におられない。
 
熊本県の菊池高原カントリークラブのホールも驚いた。フェアウェイの中央に那智黒石のような大きな岩が存在し、そこに見事に当たってOBとなった方のショックのお顔が忘れられません。

 ゴルフを通じて多くのお友達が出来たが、老若男女を問わない同じ楽しみというゴルフの世界は特別で、生きている証という感じを抱くところが素晴らしいと思っている。
 
私が死を迎えた後、共にラウンドしてくださった方々が、そのコースで私のことを思い出してくれるだろうか? そんなことを考えるのは葬儀という仕事に携わっているからかも知れない。
 
10年ほど前、ある葬儀の葬儀委員長が難しい方で、担当社員達が前日から神経をすり減らし、困っていたことがあった。葬儀の当日、ご挨拶に伺うと「あれっ」と思う発見があった。

モーニングの袖から覗く両手の色が全く違うのである。恐る恐る「ゴルフをなさっておられるのですか?」と伺ってみると、ご表情が一変し、「ああ、1年に200ラウンドはしているだろう。今日の仏さんもゴルフ仲間でな、また淋しくなったよ。君もやっているようだな?」
 
たったそれだけでコミュニケーションが結ばれ、委員長さんにしか分からない故人との思い出話しを拝聴することになり、ナレーションの原稿を即興で大きく変更し、ご遺族からも大変なお喜びを頂戴することがあった。
 
その時の故人との思い出話。「故人は、自分に厳しく他人に寛大という名ゴルファーだった。誰も気付かないのに、<セカンドショットの練習スイングで、木の葉っぱを1枚落とした>と言って、2ペナルティを自主申告したことは、中間達で有名な出来事だった」
 
そのエピソードだけで故人のお人柄がご理解され、そして偲ばれる。故人の人生表現のための取材、それは至るところに存在しているもの。私もそう言われる人になりたいと願っている。
 
    今は亡きゴルファーの皆さん、思い出を有り難うございました・・・・合掌
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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