2002-11-18
ビデオとBGM「慈曲」 NO 260
結婚を機に退社した女性スタッフが、時折に来社することがある。生まれたばかりのベビーを抱いてきたこともあった。
現スタッフと元スタッフのやりとりの中に、退社後に生まれた新しいサービスシステムを自慢げに見せる光景がある。
1年前になかったものや、3時間を要して創作していたものが、1時間足らずで完成する変化に全員が驚いている姿が面白く、これは、嬉しいひとときでもある。
司会を担当していたスタッフも、追憶ビデオへの音楽とナレーションのミキシングの作業を目にして、「こんなことが簡単に出来るのですね」とびっくりし、自身のナレーションを記念に吹き込みたいということもあった。
このシステムの完成は、確かに便利ですべてのお客様にお喜びをいただいているが、これまで以上に神経を遣うことになっている。
なぜなら、葬儀当日の<生>バージョンのナレーションの場合は、そこだけで通り過ぎることになるが、吹き込み録音ということになれば、それらが相手側に残ることになり、細かいミスも許されず、特にナレーションの原稿創作そのものに負担が掛かってくるということ。
目で見る「文字」と耳で聴く「言葉」では、全く異なるニュアンスで伝わる危険性もあり、言葉の選択も重要なポイント。無学な愚生の最大の泣き所でもある。
ある日、プレゼントしたビデオのダビング要望があった。それも20本である。普通では考えられない数量で、事情を伺ってみた。
それによると、はじめは、兄弟4人だけと考えていたそうだが、亡くなられたご本人の人望が厚く、趣味や同好会など様々な関係者からも「記録」としての要望があり、20本になったそうだ。
家族でない人達がフォトビデオを欲しいと言われる人物。私の人生もそうありたいものではないか。
ところで、ビデオのBGMだが、法的に著作権が絡むところから、故人の愛唱曲の場合は手続きを行うが、これまでのすべては私が制作監修をしたCD「慈曲」 となっており、元々、「癒し・慰め・儀式・礼節」をコンセプトされ、これらのBGMとしてのイメージが完成しており、「慈曲」を「かたち」として具現化し たことを改めて誇りに思っている。
「葬儀の時に流れていた曲が印象に残っています。曲名は?」
そんなご質問も結構あるが、「弊社が関係するブランドです」と申し上げ、販売していないことを伝えると驚愕され、「それだったら、絶対に手に入れたい」とおっしゃることが多く、テープに録音してプレゼントしたこともあった。
さて、このCD「慈曲」の10曲だが、一流と呼ばれる司会者でしか活用不可能だと断言する。イントロ、旋律、エンディングなど、活用に際して秒単位のシナリオ構成力が求められ、どこでも使用されている環境音楽の次元とは異質のものであるからだ。
全国に点在する日本トータライフ協会のプロメンバー達。彼らは、この慈曲を見事に使いこなしている。