2002-09-12

ごまめの歯軋りですが     NO 193

NHK教育テレビの「にんげん ゆうゆう」、日野原先生のシリーズ3日目を収録ビデオで見た。奇しくも今日は世界的な衝撃の日、夜のニュース番組の中心はニューヨーク・テロから1年であった。

 日野原先生のお言葉を拝聴していると、このニューヨーク・テロののような事件が空しくなってきてしまう。先生の説かれるお心の原点には「にんげん」があり、世界中の人々にこんな考え方が伝われば、きっと争いというものが消滅するように思える。

  コンピューターと対話しながら診断をする医師。医学に於ける科学やITの進展は、確かに新しい発見や情報を与えてはくれるが、患者の目線に合わせて手を 握って対話をする。それが「医師の手当て」だとおっしゃられたことが印象的で、週に一回の回診の際、若い医師達にその光景を学ばせる姿は、まるで偉大な宗 教者のようにも感じた。

 今日は、シリーズの4日目。「死と生」に関するお話で、どんなことがあっても収録をしなければと考えている。

 さて、僭越だが、今日は、少し生意気なことを書かせていただく。ごまめの歯軋り、石亀の地団駄とご一笑いただければ幸いです。

 私は、これまでに多くの葬儀を担当し、様々な悲しみの光景を体験してきた。大切な人を失う衝撃、それは体験した人にしか理解出来ないものであるが、私達の仕事は、それを少しでも理解するための努力もしている。

  日野原先生が十数年前からおっしゃっておられた「音楽を活用する医学療法」。それが近い将来にわが国でも法制化されようとしており、その先人としてご活躍 の日々だが、葬儀という悲しみの場にも「癒しの過程」という部分で、音楽のパワーは素晴らしく、私達が活動する「日本トータライフ協会」では、これらのこ との研鑽を随分前から始めており、それらの初歩的な具現化が「CD 慈曲」の誕生につながったのである。

 一方で、葬儀では様々な宗教に接することになるが、宗教によって救われた人、宗教によって死んでしまった人など、両極端の事実も垣間見てきた。

 戦争は人を完全に変えるが、宗教も然りで、自爆テロの行動心理は、戦争思想の上に宗教が加味しなければ絶対に不可能なことと断言する。

 もちろん、英雄的行為という誤解されるケースもあるだろうが、殺戮は誤まった「美」の世界であり、人間の最も愚かな行為である。

 21世紀を向かえたIT社会。インターネットの世界にも宗教に関するHPが驚くほど発信され、他宗の攻撃をされる宗教団体も少なくないが、こんな実態を知ってしまうと、テロ思想に進展する危険性が山ほどあることに気付くことになる。

 弱者が神仏のご加護を求めて縋ること、それは許されるし美しいことだが、他の否定に走る宗教は、何より地球上の脅威となると断言するし、これらを世界の歴史が物語っていることを学ぶべきだと思っている。

 最近、一般の方々の葬儀に対する疑問が高まり、様々なかたちで表面化しつつある。宗教によって形骸化されてしまっている葬儀に対する素朴な疑問と抵抗感が次第に高まっており、そんなことを背景に、全国で無宗教形式が流行してきている。

 歴史と伝統に守り築かれてきた宗教に基く形式の葬儀。仏教用語である「有為転変」が、宗教界に波及してきていることを認識いただきたいと切望している。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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