2002-07-06

期待ハズレ   NO 127

葬祭業に従事し、経営の立場や司会を担当するものには、「来る*月*日」という約束が苦痛になるもの。2年前までやっていたゴルフも、何度、友人達に迷惑を掛けたか解らないし、会合があればいつも頭を下げる弱い立場になっていた。

 そんな友人達は、私の仕事を深く理解してはくれたが、いつの間にか代理となる助っ人を用意する知恵まで働かせていた。

 絶対に約束を破ることが出来ないこと、それは講演の講師。
「友引」の日という条件で講師を引き受けるが、最近、大阪では友引の日の葬儀が多くなり、これも怪しくなってきて苦慮している。

 ホテルに於ける仕事が増え全国に出掛けるが、ホテルでの宿泊を好まなかっても、そのホテルに宿泊せざるを得ないことになる。

 私は、純日本的な旅館が好きで、夫婦で行動する場合、東京都内以外は必ず旅館。
列車内で、大きな時刻表を手に旅館探しをすることも楽しいもの。

 ある有名な温泉に出掛けた時のこと。新幹線車内から予約を入れ、在来線の特急列車に乗り換えて最寄り駅に着いた。

 駅前で乗ったタクシーは、個人タクシー。人柄の柔和な運転手さんに旅館名を告げると、「お客さんは、この旅館を何処で知られたのですか?」と尋ねられた。

 その日の列車内予約であり、適当な宿泊料から単純に決めただけと正直に言うと、面白い話をしてくれた。

 その旅館は歴史ある有名な旅館だが、今、経営を任されているのは「女将学校」の卒業生で、話題を呼び、テレビや雑誌の取材が多いとのこと。同じサービス業の立場にある私にとっては興味が生まれ、期待をしながら向かうことになった。

 到着までに仕入れた運転手さんの情報によると、徹底した合理主義も取り入れ、抵抗感を抱いて帰られるお客さんもいるそうで、少しがっくりときたが、これも何かの縁と思い始めた頃、到着した。

 はっきりと言って、この旅館の内容を書く気持ちはない。サービスという言葉に当てはまるホスピタリティを、全く感じることがなかったからである。

 悪口となってしまうが、温泉名も旅館名も伏して少しだけ表記申し上げる。

これまで、良いサービス、素晴らしいサービスを受けた旅館は山ほどあるし、今後に何軒かを紹介させていただくつもりだが、この旅館は基本的な部分が欠落し、女将学校でどんな教育を受けられたのかを知りたいと思ったぐらいであった。

 部屋に通され、机の上に置かれた「ご挨拶」。合理的は許されるだろうが、久世だけボールペンで記され、「様」からコピーの文字の列記。

 次に驚いたのが、渡した祝儀に対する領収書の内容。ひと目で旅館内部スタッフの軋轢、確執を感じてしまうレベルであった。

「この旅館の売り物は、何ですか?」 私は、いつもそう尋ねることにしているが、「この部屋のお風呂です」という、仲居さんの返答にも凝縮されていたように思う。

 当たり前のものを売りものにしているようではダメ。仕出屋さんが「お題目」のように味と衛生を売りものにしていることと同じかも知れない。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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