2002-09-27

安中榛名駅での思い出    NO 208

群馬での講演の際、妻を伴って行ったことがあった。いつも伊香保温泉の旅館に宿泊していたが、一度、高崎駅に戻ったところから、伊香保以外の温泉旅館に行くことにし、駅の構内で時刻表の巻末にある旅館案内のページや、観光案内所のパンフレットに目を通して考えていた。

 そこで、私の目に留まった文字があった。それは「舌切り雀の伝説」「雀のお宿」であり、やがて電話で予約を入れ、35分ぐらいの道をタクシーで向かった。

 駅を出発した時に明るかった外も、陽が落ちた夕暮れ時、周囲がすべて竹やぶで、川の音が聞こえる旅館に到着した。

 平日ということもあっただろうが、館内は閑散とし、他のお客さんの姿が見当たらない。

 やがて部屋に通され、しばらくして食事となったが、それが終わると退屈でしかたがなく、館内の散歩に出掛けた。

 5分ぐらいの時間を過ごすと冷え込んできて、少し寒いぐらいになってきた。廊下を進むと中央にストーブが置かれてあるバーが目に止まり、中に入った。

 相手をしてくれたのは、若い男性と部屋食の担当してくれた仲居さん。今日は閑古鳥が鳴いている状況ですと教えられ、自分ひとりで広いバーと二人を占有していることが申し訳なく思い、水割りを1杯だけ飲んで部屋に戻った。

 曲がりくねった廊下も、誰一人として会うこともなく、何処からの声も聞こえてこないという恐怖心が生まれ、とにかく大浴場にでも行くことにした。

 暖簾をくぐると履物が1足もなく、誰も入っていないという証し。脱衣場でも当然、1人ぽっち。急いで露天風呂に入ったが、ここでの孤独は体験したくないひとときであった。

 残るは、部屋でのマッサージ。愛想がよく技術の卓越された2人のマッサージさんのお世話になったが、今日は初めで最期のお客様ですという言葉を聞き、ダブルでお願いし、この温泉に伝わる伝説などを拝聴することになった。

 次の日の朝、長野へ向かうところから、長野新幹線の安中榛名駅に向かった。幾つかの峠を越え、草原を走行し、やがて周囲に何もない安中榛名駅に着いた。

  前もって時刻表を調べてあり、15分ぐらいの待ち時間という状況だが、駅構内の切符売り場前の空間に驚く物が存在していた。ゴルフのパター練習場で、3 メートル、5メートル長方形で、センターが盛り上がるアンジュレーションがあり、ボールが10個ぐらいとパターが数本あった。

 夫婦で挑戦していると、地元のおじさんらしい2人の方がやって来られ、「ここのパターは難しかろう」と声を掛けられ、しばらくの間、共にゲームに興じることになったが、のどかな時間を過ごすことが出来たと思っているし、また挑戦に行ってみたいと思っている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net