2002-07-31

地球環境と葬儀   NO 151

葬儀は人を集め、人を走らせるという言葉があるが、参列者の移動に関する交通機関の利用までも考えれば、今問題の地球環境にもつながってくる。

 参列者にお渡しする「お供養」の包装や手提げ袋。また、お食事後のゴミの処理。そして供花や関西特有の「シキミ」に関しても環境問題を切り離すことは出来ないだろう。

 直接的な部分では「お柩」の存在がある。木材を使用するし、火葬場の規則として定められた内装品も考慮しながら、ご遺族が納められる品々へのアドバイスも行なわなければならない。

 ある学説によると、地球環境に大きく関係する森林破壊は、はるか昔の中国にもあったそうで、これらは、今も慣習として引き継がれている。

それぞれが特別に立派なお棺を用意され、それらは時には大木を切り倒し、刳り貫いて制作されたことも多く、中国の山奥から切り出される材木の量は想像以上のものだそうだ。

弊社にも外国から多くのメールが入ってくるが、それらの大半がお棺の売り込みで、中国、台湾、シンガポール、オーストラリア、マレーシア、韓国などからの例があるし、中には上述の「刳り貫き」タイプもあった。

  日本では「地球環境にやさしい」との触れ込みで、再生紙を活用したダンボール型のお棺も登場しているが、人生最期に使用されるという雰囲気の中では、ご遺 族の評判はすこぶる悪い事実もあり、これらは、折りたたみ式で場所を取らず、災害用の緊急備蓄品として重宝されている。

 一方で、関西特有の「シキミ」の使用が激減しており、山でシキミを切り出す仕事をされておられた方の大半が手を引かれたそうだが、常緑樹のシキミが必需品として重宝されてこられた日蓮正宗さんや創価学会さんにも、少量での納得が生まれているようである。

 さて、シキミは、様々な説があるが、次の3説が有力なようだ。

* シキミの花の蕾が、インドの無熱池に咲く蓮華の蕾とそっくりで、活用されている。 
* 日本に持ち込まれたのは、唐招提寺を建立された鑑真様。
* シキミは毒性があり、獣が先天的に嫌うところから、埋葬の時代に山から切り出して
  きて供え、埋葬時に獣が掘り起こさないような知恵として残った。

 有為転変という言葉のように、世の中の変化を止めることは出来ず、それらは慣習や習俗、迷信さえも超越してきていることにも明らかだ。

 NO 149に書いたように、宗教観の稀薄、儒教精神の稀薄、無宗教の増加など、永い歴史の上に胡坐を掻いていてはならないだろう。

正座をし、真摯に受け止め、自分達がどのような道を歩んで行くべきなのかと、今、その分岐点に立たされているように思えてならないこの頃である。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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