2002-05-19

びっくりしました    番外編    NO 79

投函後、先方から連絡があったのは2日後、自宅への電話であった。

発信の住所を会社でなく自宅にしていたのは、事を荒立てなくなかったからで、正直に申し上げて他意はない。
 
電話の方は、東京のホテル事業部の責任者。「今からすぐに大阪へ謝罪に参上いたします」とおっしゃられたが、私は、手紙に書いた内容をご理解いただいていますかと返した。

 謝罪ではなく原因究明と報告。それをお願いしていた筈。電話の時点では、事件の発生したホテルへの確認から事実を知られたようだが、原因の確認には至っておられないご様子。すぐに対応されるという確約のお言葉で、電話のやりとりが終わった。

 それからしばらくして、郵便物の中に担当の方からの手紙があった。謝罪の言葉と図面を描かれた調査結果の報告書が入っており、危険性の問題から、全室のバスルームの調査確認もされたというご表記もあった。

 報告書の結論によると、直接要因となったことは工事会社の手抜き工事。本来4センチぐらいのネジで固定しなければならないところを、約半分の長さのネジを使用していたそうで、徐々に錆び付き、水圧に耐えられない限界に達し、外れ飛んだということだった。

 あまり利用されることないスイートルーム。また、その部屋用のバスルームに設置された特別製の蛇口、それらも事件発生の背景にあったと記されていた。

 一方で、ホテルを提供してくれた彼からも電話があった。責任者が来社され、丁重な謝罪と宿泊料金の返金を申し出られたそうだが、宿泊した事実は事実、料金は支払って当然という考えを伝えたそうで、彼らしい立派な対応をされたと思っている。

 後日、再度の電話があった。今後、どのように謝罪をさせていただいたらよいのでしょうかということで、これで集結ということにしましょうという返答をした。

 私が願ったことは事故の再発防止、次の被害者を出さないこと。出来たら系列の多くのホテルの安全確認をされることを要望し、事件は集結することになった。

 電話を切る前に担当者が言われた次の言葉、それは本心だろうと思っている。
 
「取 り返しのつかないような事故の発生。そして、その初期対応の欠如。それをお二人とも共通してお怒りのお言葉もございません。こんな事件は起きてはならない ことですが、ご被害に遭われたお方が、あなた様方のようなお人柄で救われた思いでいっぱいです。すべてのホテルのチェックを実施することをお約束申し上げ ます」

 人間は、時にミスを犯すもの。私達も何度か申し訳ないミスを犯したことがある。反省で済ませることが可能な範囲ならプロ。後悔することになったらプロでない。

そんな我々2人のプロ哲学が怒りにならなかった要因だろうが、今回の事件の原因が人為的ミスと言っても「不可抗力」だろう。

怒りを表す人間の姿、私は好きではない。

怪我をするに至らなかったことは幸せなこと。そして、この原稿を打ち込むことが出来るのは、生きている、生かされている証なのである。

 ・・・・・安全チェック、大丈夫ですか?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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