2002-12-08

懐かしい思い出    NO 277

ライトアップされた大阪城を見ながらタクシーを待っていた。強くはなかったが雨の影響からか、10分ぐらいを歩くことになった。

 そんな時、偶然、すれ違った人に「お久し振り」と声を掛けられた。

 彼は、テレビ局の制作部にいる人物で、何度かテレビ局で打ち合わせをしたことのある顔馴染みの人だった。

 彼が制作担当したある番組で、忘れられない思い出がある。葬儀をテーマにした放送作家の台本に基き、実際の葬儀のシミュレーションを90分番組で行ったのである。

 布団に寝ている故人の役。これは、弊社の社員が担当した。その枕元で行う枕道具の設営は部長の役。
実際と同じレベルの葬儀の設営を行うという大規模なもので、式場としてご協力くださったのは由緒深いお寺様。
私は、打ち合わせを行なう葬儀責任者の役から司会進行までを受け持った。

 喪主、喪主の奥さん、親戚のおじさん、その奥さんなど、10人ぐらいのキャスティングはすべて俳優の方。弔問の光景では、カメラマンを除くすべてのテレビ局関係者が扮し、ADさんまでも出演協力していた。

 この番組は、非常に話題を呼ぶことになった。放映された次の日から「よい企画でした」との電話や手紙が多くあり、放送作家や局の関係者が喜ばれていた。 

 そんな中、その番組のプロデューサーから電話があった。視聴者の電話と手紙の中に、「家にマニュアルとして残しておきたいのでビデオが欲しい」という要望が多くあり、どうするかということであった。

 これらの対応はテレビ局では難しく、著作権のことを超越して弊社が対応することになった。

 番組の中では、式場をご提供くださったお寺様も導師の役のご協力をいただき、テレビをご覧になられた檀家の皆さんからもお寺様に同じご要望があったそうだ。

 収録されたシミュレーションの葬儀は、スタジオの司会者が中心となって「お葬式」というタイトルで生放送され、私もスタジオ出演していた。

 スタジオでご一緒したのはアナウンサーの角 淳一さん、岩城潤子さん、それに坂東英二さんであったが、タイトルが「お葬式」だけに、スタジオに緊張が走り、番組始まって以来の真面目な内容という評価を頂戴した。

 その後、お墓を取り上げた番組をはじめ何回か生放送でご一緒したが、ある時、ある大学教授と2人で出演した時、私の方を上座扱いされた時だけは恐縮してしまった。

 番組終了後、その思いを伝えると、プロデューサーが独り言。

『生放送は、安全を重視するのです』
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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