2006-05-18
特別な世界 NO 1509
比叡山の延暦寺が話題に。問題はニュースで報じられているように山口組歴代組長の法要である。
県警から前日にあった中止要請に「宗教儀式ですから」と決行してしまった寺側だが、そこには断ることの出来ない事情があったのだろうと推察する。
世間を騒がせてしまった。仏教会の取り決めから逸脱することになった。そんな問題の収拾に「執行」の辞任という決定が下されたようだが、仏教の霊峰として名高いところから風当たりは強いよう。
最近でこそ少なくなったが、この世界の法要は、昔は町のお寺で日常茶飯事として行われていた事実もある。義理と人情という侠客道では法要供養は欠かせない 行事、新聞などでは全国から集まる「お金」について触れていたが、中に寺側が受領した金額を記載していたニュースもあって驚いた。
「法要をお願いしたいのですが」とお寺を訪れたのは誰が見ても普通の人、そこで日時を決めて当日を迎えたら組関係で、警察官が多勢やって来て大変だったというケースも少なくなく、交流のあるお寺様達から過去に何度か相談を受けた体験もある。
そんな中で大変だったのがあるご住職からの電話、「午後から法要、午前中に祭壇を設営し、50対の供花を準備して」と朝から言われたのだからパニック。供 花名札の書き入れでどれだけ苦労があったか懐かしい思い出。それも当日まで内密体勢で進んでいた事情があった訳である。
当時は組の代紋 を供花名札に入れる作業も当たり前、あちこちの代紋を模った台紙の存在があって重宝したものだが、ひとつ間違ったらエライことになる危険性が秘められてい るのは当然。最も恐ろしいのが順位の問題、誰かの意見で決定していたものが上部幹部によって急変されることも多く、式が始まる寸前まで担当者が離れられな い苦労もあった。
歴史に残る有名な組葬の際に作られた印刷名簿を目にしたことがあるが、参列者予定の人物が数百人並んでおり、葬儀委員の役割が社葬以上にしっかり明記されていたので印象に残っている。
この世界の特徴のひとつとして服装があろう。略礼服はあるがモーニングは皆無で紋付主流となっている。そんなところから着付けのプロの手配も大変、事情説明で「遠慮します」というケースが多く、それで苦労をされた人も多いと想像する。
随分前の話だが、私のオヤジと交流のあった侠客が高齢で亡くなられて葬儀を担当した。信じられないかもしれないが、喪主を務められた息子さんは「丸暴」の上層部の方、受付に座った人達がみんな本物みたいでびっくり。近所の方から警察に電話が入ったという秘話も。
今や名の知れた組長さん、お父さんの葬儀で言われた言葉を今でも覚えている。「この上のない親不孝だった。葬式で親孝行をさせてくれ。この通りだ」と我々スタッフに頭を下げられたから。
葬儀とは、いつも人の社会の縮図というドラマが垣間見える。喜怒哀楽という言葉があるが「喜努愛楽」の世になればと手を合わそう。
そんな思いを託して今日の<HOME>接続は落語作家「サンサンてるよ」さんの笑いと健康講座、「不老具」と命名されたブログが面白い。是非ご訪問を。