2006-06-13

月と鼈  NO 1535


 大病院の待合室の時間は長く感じる。散髪、食事、診察で待つのが大嫌いな私だったが、最近は気長になったみたいで、長椅子に座って名前を呼ばれるのをただ只管待ってきた。

 病院に到着したのは11時半。案内係の女性に「採血や検査に昼休みタイムはあるの?」と確認したら「ありません」とのこと。そこで<先に昼食を>と考えたのだが血液検査に影響が出ることに気付き、そのまま採血センターへ行った。

 診察予約時間は午後1時、それまでに指定された検査を済ませておかなければならない。

担当くださる方は心臓血管外科の部長先生、患者さんに丁寧な対応をされることで知られる先生だが、前の患者さんが多いと待つ時間が長くなるのも仕方がない。そこでちょっと早めに受付窓口に書類を提出したら、もう4番目ということでびっくり。

 そんなところから名前を呼ばれたのは3時15分、パソコン画面で確認しながら血液検査の結果を拝聴したら、想像していた通り4項目の数値が高く「改善に努力を」と指導された。

 どれも食生活をちょっと変えれば可能な数値、術後に関するデーターは順調ということだが、手の痺れについては今しばらく友達付き合いを強いられそうだ。

  59歳での手術、ましてや破裂していない状態での決行、「それがすべて幸運なのですよ」と先生のお言葉。高齢になってからの手術の大変な辛苦、また、破裂 して救急で運び込まれた場合のとの違いを聞きながら「雲泥の差」というお言葉に<本当にラッキー!>と心の中で叫んだお話しだった。

 仕事、人生、車の運転などに臆病であれというのが私の哲学、「?」を感じたらすぐに追究するのが性格だが、そこでの憶測の判断が何より恐ろしく、憶測する場合にはすべて危険や悪いと考える方が安全な結果となる。杞憂ばかりの人生もよいのではないか。

 今でこそ吐露出来るが、自身の病気を医師から告げられた時の衝撃は強烈だった。そこからネットでの病気探究が始まったのだが、最悪を避けるには手術という決断に至るまでは早かった。そして最善という結果を得た思いがした今日だった。

 帰宅したら、もう夕方。すぐに真向かいのお医者様に報告に参上。病院から持ち帰った検査結果の資料をコピー、カルテの中に保管いただくことになった。

 先生のお言葉に興味を覚えたのが「100日」という数字、3ヶ月と100日は10日ほどしか違わないが、術後にあって、この10日の意味は重要だそうだ。

 今後にあって考えられる最悪のケースについて説明があった。どれも恐ろしい内容だが、それらは確実に患者を臆病にさせる。

自身に臆病であり、対する相手にも臆病な思いを抱かせるのが医師のプロと言えるのかも。来る6月20日で手術から丸3ヶ月、100日目というと6月末日となる。その日までは絶対に無理をしないように心掛けよう。

  さて、腹立たしいのがシンドラーの事故直後からの対応。いかにも弁護士が吹き込んだ最悪シナリオ。こんな場合「メンテナンスに問題があろうがシンドラー製 で事故が発生したことを真摯に受け止め」というのが日本的な謝罪の姿勢。それを信じられない発言で対応するニュースを観ながら驚いた。

  あれでは犠牲者や遺族が余りにも気の毒。謝罪とは想像を絶するエネルギーを負荷する。そうなりたくないから臆病であれと言うのである。シンドラー製造のエ レベーターに危険を感じる人がいっぱいいる筈。今までメーカーなんて気にすることはなかったが、これからは間違いなくチェックするだろう。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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