2002-08-13

M R    NO 164

「胃の調子がおかしいようだ」 「胃カメラで検査をしろよ」 
「偏頭痛で困っている」 「CTスキャンで検査をしろよ」

 そんな会話が交わされる光景に何度か出会ったことがある。
 しかし、「しろよ」と言っている本人が、胃カメラやCTスキャンの検査をした経験があることは少ないようで、その大半が耳学問の世界である。

 葬儀で多くの方々をお送りさせていただいたが、ご遺族に伺ったお話には、「もっと早く検査をしていたら」との後悔をされるお言葉が多い。

 ある医師に教えられた話だが、「60歳になるまでは慎重に検査を」という格言があるそうで、その背景には進行の度合というスピードの問題が絡んでいた。

 変だ?。おかしい?と思ったら、まず検査を。それで本人の寿命が10年以上も延びることが当たり前で、死につながる病気のすべては早期発見という結論になる訳である。

 友人や知人が身体の不調を訴えた時、私も冒頭のような耳学問で答えたことが多く反省しているが、おかしな頭痛に悩まされた時に受けたCTスキャンの体験はある。

 2週間も信じられないような頭痛がして難渋し、脳外科の病院に足を運んだ訳で、どんな検査をしても原因が解らず、ついにCTということになったが、何ともないという結果。
 担当医師が様々な問診を繰り返す中、突然に「原因が解りました」と言われた。

 寝つきが悪く、2週間前ぐらいから枕の下に座布団を敷いていたこと。それによって首を圧迫していた事実。たったそれだけのことであり、座布団を外した次の日には治癒していたのだから驚きであった。

 さて、九州に講演に行くことがあったが、どうしても前日に行くことが適わず、当日の7時半頃の「のぞみ」に乗車する予定で、早く寝なければと医師から貰った軽度の睡眠導入剤を服用した。

 次の日の朝、大変なことが発生した。起きて歩くと身体が勝手に右に傾いていくのである。<これは変だ>と正座をしてみても、そのまま右側へ倒れてしまう。

 聞きかじった耳学問で、<脳の左側に異変が?>と思ったが、15分ぐらいすると正常に戻った。この間、手足の指の感触確認や勝手な想像で考案した反射神経のテストなどを繰り返したが、さっきの兆候が嘘のように治っている。

 多くの受講者のことが思い浮かび、大丈夫だとの判断で新大阪駅から「のぞみ」に乗ったが、少しだけ頭が「ボー」としている感じもある。

 博多駅に迎えに来ていただいた方に朝の兆候を話し、講演中に「ろれつ」がおかしくなったら救急車を呼び、朝の出来事を伝えて欲しいとお願いすると、「大丈夫ですか?」と青ざめられてしまった。

 結果は何もなかった。講演も順調であり、終了時には朝のことが嘘のようであったが、帰阪した次の日に医師の診断を受けたのは申すまでもない。

 そこで緊急検査ということで体験したのが「MR」。磁石の化け物の世界への突入。閉所恐怖症の方には恐ろしい世界だそうだが、検査の結果は何もなく、右に傾いた兆候の原因は、睡眠導入剤の副作用という結論に達した。
 
 私は、猛烈な反省をしている。少しでも早く寝なければと、その薬を横着して缶ビールで飲んでいたのである。これは、医師には伝えていないのでご内密に。
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