2003-06-12

プロデュース会議    NO 456

昨日、大規模な社葬のプロデュース会議を社内で行った。

 まずは、お預かりした10数冊のアルバムのページを開く作業を8人がかりで始める。おそらく1000枚以上はあるだろうが、その1枚1枚を拝見する。

そこには故人が歩まれた人生の証しが刻まれてあり、取り敢えず100枚ぐらいのピックアップまで進める。

 映像に使用させていただくもの、メモリアルコーナーに掲示申し上げるものとの選別に入る前、ある程度の絵コンテと基本的なシナリオ構成を考慮しなければ「生きられた」というドラマは完成不可能。

 お写真を選ぶスタッフにも、そんなプロデューサーとしての感性が求められ、作業ではなく「仕事」であるとの認識が、この行程での重要なキーワード。このプロセスこそに我々のソフトとノウハウを凝縮させるのである。

 交友関係の広さがお写真を拝見するだけでも伝わってくる。苦渋の選択で最終的に決まったご弔辞の奉呈者が7名様。これだけでも最低40分を要するだろうし、もしも「長辞」というお方がおられると1時間ということも覚悟しなければならない。

 無宗教形式による2時間の社葬。梅雨の季節、暑さ、駐車場という問題をご考慮され、式場はホテルをお選びになられたが、現在のところ参列者の予定人数が把握できない状況で、式次第の構成を3パターンぐらい考えている。

 そんな条件でプロデュースに入ると、様々な部分での時間短縮が求められ、本来は割愛したくないところにまで「しわ寄せ」が迫る。

 これらにプロとしての技を投入するなら、参列者に退屈をさせないという秘められたテクニックが不可欠。それにはアシストスタッフの存在とサブ司会者の技術に託する部分が高くなる。

 そこで重要なのがキャスティング。今回は私のブレーンの中でも最高のプロ達を集結させるつもりでいるが、彼らは、きっと答えてくれるものと確信している。

 さて、不規則な時間に食事に出掛けて帰社すると、東京のテレビ局2社から取材の要望が入っていた。

 最近、新聞、雑誌、テレビの取材が多くなってきているが、これらは高齢社会の到来に「葬儀」に対する興味が高まってきている現象であり、真面目な番組構成を考えられている場合には、取材の内容にもレベルアップの兆しが感じられる。

 しかし、視聴率を重視するテレビの世界は、どうしても興味本位に走ってしまう姿勢が否めず、お笑いタレントがキャスティングされているような番組は、すべてお断わりをしてきた。

 そんな姿勢を貫く私の葬儀に対する思いは、今、弊社のスタッフ達にも浸透しつつあるようで、「テレビ出演は宣伝になります」と言っていた女性スタッフ達さえ、「低次元な番組に出演しないでください」に変わってきた。

 この変化にこそ、スタッフの意識向上の結果があり、弊社ブランドのオンリーワン的な「誇り」が芽生えた証であるように思っている。
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