2003-09-04

無形の付加価値    NO 536

新聞、雑誌などに「葬儀」や「死」についての記事が多くなっている。これは、高齢社会が背景にあるのだろうが、儒教精神低下や宗教意識の希薄もあり、悲劇の事件が増えているのにも関係しているだろう。

 弊社では、全国で発行される新聞、雑誌の中で、葬儀、死、命に関する記事の大半が送付されてくるシステムを12年前から導入しているが、最近、いよいよ、その量が増えてきている。

 葬儀に関する記事を整理してみると、我々葬儀社に対する不満と共に宗教者に対する「?」が多く、続いて多様化と個性化要望となっている。

 また、まだパーセンテージは低いが「悲嘆に関するグリーフケアを重視するべき」との声が目立って来ており、葬祭業、宗教者にとって、アフターケアに対する対応を真剣に研鑽しなければならない責務を感じている。

 こんな情報収集も私の重要な仕事。世の中の流れや潜在ニーズの把握なくして将来はなく、講演での質疑応答は最高のリサーチともなっている。

 一方で、ブライダルに関する情報も入手している。これは、冠婚葬祭という言葉があるように、両方学んでおくと、とても役立つことがある。

 最近、多くのホテルから招聘されることになってきた。数日前にも書いたが、ブライダルの話題を織り込むと衝撃が高い。

 私が考案したブライダルの次第がある。大げさなことではないが、ちょっと変えるだけで披露宴に「愛」と「命」が生まれ感動につながる。体験された方が「知的所有権的な発想」と言ってくれるが、そんな気持ちは一切なく、歓迎されて喜ばれたら嬉しいことと思っている。

 でも、この「独り言」でオープン化することはないのでご海容を。その内、必ず流行する筈なのでお楽しみに。

 今年の春、弊社女性スタッフの披露宴、彼女は、その助言を遂行したが、出席者に高い評価を頂戴した。

 この発想につながったのは「会」から「式」への意識転換。一番大切なことを儀式化させただけ。「宴」の中の瞬間に「式」がある。それで出席者の心に賛同の想いが生まれ、既婚者だけではなく、適齢期の若い出席者が「私の時も」と流行するみたい。

 そんな思いを抱いてホテルの窓口を訪問する新郎新婦予定者。でも、窓口も司会者も「そんなの例がありません」と対応されてしまう。そこで会場や司会者の変更という「もったいない」事件も発生する。

 ホテルは、「お客様のおっしゃる通りに」という姿勢の裏側で、ホテル側に都合のよい方向へ導いてしまう。その際に使われるのが、「皆様、このようになさっておられますが」というトーク。その行き着いたところが「パック」であった。

 もう、パックなんて大昔の話。こんな情報社会を迎え、新郎新婦は情報過多。何を言い出すか分からないので修正アドバイスは必要だろうが、意義の重視が何より大切。

  ホテル業界が「偲ぶ会」「お別れ会」「社葬」ビジネスを展開中。中には「**様で**万円」というパックも流行しているが、パックを打ち出したホテルに 「無形の付加価値」を期待するのは絶対に無理。仏事に関するサービスは、「意義」の重視で「無形」のサービス提供。そこに至るホスピタリティを売り物にす るのがホテルの原点ではないだろうか。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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