2003-08-30
講義の中断 NO 531
ある大型ホテルからレクチャーを依頼され、3時間の講義を行った。
通された部屋は、洒落た会議室。お客様にも提供する部屋だそうで、30人程度のスペースがあり、人気があるとのことだった。
ビデオモニター、ホワイトボードがセッティングされ、すでに役員の方を含めて7人の方が在室されておられたが、今回は、ホテル側の意識改革を目的とした一 方通行型で進めるシナリオを組み、骨子の中心となるホテル葬の前に、ブライダルサービスとネットによる宿泊予約について話し出した。
話し始めて10分ぐらいした時、「失礼します。ちょっとお待ちいただけませんでしょうか?」と責任者から突然そう言われ、<話が脱線したから?>と思ったら、「5分間、時間を下さい」と言いながら、部屋を出て行かれた。
ちょっとシラケタ時間が流れ、出されたお茶をいただく私。冒頭から話した約10分の内容を頭の中で確認したが、中断に至る内容ではなかった筈。
時間が5分と少々流れた。ノックの音に続いて責任者が戻って来られたが、同時に6人の人を伴っている。
「突然で大変失礼いたしました。実は、今回のプロジェクトスタッフ以外のメンバーを呼び集めて参りました。まさか、ブライダルや宿泊についてのお話をいただけるなんて予想をしていなかったものですから」
そんなことで「宿泊支配人です」から始まって6人の自己紹介があり、話が最初からということになった。
ブライダルサービスについての15分、そして宿泊とネット予約の世界について10分という配分だったが、かなり衝撃を受けられたようで、失礼だが今回もホテル内部の企画力に「?」を抱くことになった。
そこから約90分、ビデオ映像を織り交ぜながら偲ぶ会やホテル社葬の世界を話したが、終わってからが大変。そこから約1時間、質疑応答のひととき。<いつ開放してくれるのだろう?>と心配した。
合計13人の受講者だったが、ブライダルや宿泊担当の方々も最後までご一緒。この間、退室された方は1人もなかったが、ブライダルと宿泊の両者の目が輝き、ホテル葬プロジェクトスタッフが意気消沈していた対照的な光景を垣間見ることになった。
別室でお茶をよばれた時、「こんな世界になっていたのですねえ?」「お客様が体感されているのですねえ?」というため息のような言葉。それは、今後のホテル葬サービスの危機感を確実に感じられたからだと信じている。
講義の中断が「抗議の中断」でなかったのでホッとした珍しい体験。
彼らに与えたであろう衝撃の世界との遭遇、それは、意識改革にあって最も近道となる重要な手法なのである。