2002-04-17

葬祭業界、ホテル業界の変革

今、この原稿を東京のホテルで打っている。

先週は九州で、救急車で病院に運ばれるというハプニングがあったが、全国への移動に負担を感じる年代であることは確かなようだ。

団塊の世代である私も55歳。この数年前からの同窓会で、リストラ「する側」「される側」という話題が多かった。

この3月で定年を迎えた人も数人あったが、多くが住宅ローンを抱え、中には、息子を私学の医大に入学させるための銀行ローンが、まだ、数年も返済が残っていると語っていた人物もいた。

サラリーマン社会で成功した連中も数人あり、1部、2部の上場会社の役員として活躍しているが、上場会社には、我々庶民には考えもつかない苦労があることも知った。それは、「株価」の上下への責任である。

ご存じのように、葬祭業界も上場会社が登場し、「葬儀屋」から「葬儀社」の段階に至ったようだが、なにしろ他業界から20年ぐらい遅れのある業界。社会で「葬祭トータルサービス業」と認識されるには、まだまだかなりの年月を要するものと予測している。

弊社が加盟する協会研修会で、その上場会社さんが主催される「社葬セミナー」の内容について、熱い議論を交わしたことがある。

数人が勉強を目的として出席をされ、資料をいただいてきたものだが、セミナーで重要視されていたことは、葬儀社側の利益中心タイプの社葬バージョン。無駄を省く発想はなく、社葬は企業の重要イベントとして、盛大に行なわなければならないという姿勢が顕著であった。

2年ほど前、各総研の重要ポストにおられる方々にセミナー講師を依頼されたが、その際の出席者の中に上述のセミナーに参加された方も数人おられ、合理的な社葬を提案する私の考え方との大きな相違に驚いておられた。

大 手の葬祭会社さんは、ホテルを会場とする「社葬」「偲ぶ会」「お別れ会」には、上記の事情から消極的であり、大手という信用から業者任せ的な社葬が進めら れてきた訳であるが、ビジネス社会にホテル葬を体験される方々が増え、発想転換を余儀なくされ、ホテル葬に積極的取り組む姿勢に転じなければならない時期 を迎えたようだ。

これは、基本的な経営方針の変更であるが、ホテル業界の「本音」の中に葬祭業者との結び付きを嫌う姿勢があり、簡単な事 ではないと考えているし、それ以上に、ホテル葬を希望されるお客様が求められる「付加価値観」の提供の部分にあって、絶対に難しい問題であると分析すると ころである。

これらのことを15年前に予測してきた私は、多くのオリジナルなサービスを構築しており、知的財産に帰属することも少なくなく、今後の戦いが大いに楽しみなところでもあるが、これで、初めてお客様に比較される対象が出来、心から喜んでいるこの頃である。

音響、照明、演出、音楽、司会、総合プロデュースなど、それぞれの「匠」達が集約された「トータライフ協会」の存在が、今、脚光を浴びる時代にあって、それぞれがいよいよパワー発揮の時を迎えているようだ。

 「革新的なことを展開している」と誤解されたくないので申し述べるが、宗教学、人間学、葬祭哲学、葬祭心理学、葬祭サービス学など、プロとして客観的な立場でお客様のご満足を指針する研鑽を行い、今、掲示板で研究テーマになっているのは「お釈迦様」である。

そ んな中、無宗教形式が主流となる「ホテル葬」「お別れ会」「偲ぶ会」だが、進行の重要性に対する意識は低く、「司会」から「司式」の認識が求められる世界 であることが理解されず、当協会のメンバー達は、実際の体験からこのことを強く認識しており、今後の自覚が更に高まるものと論議され、研修会の重要議題と なっている。

それぞれの人生が異なるように、終焉の儀式も異なるべきとのニーズは高く、与えられたシナリオを進行する立場から、シナリオを構成するプロの存在が究極に求められてくることになると断言させていただく。

一 昨日の「独り言」で記したように、私や協会に帰属するプロデューサーは、葬祭業者さんと提携されるホテルさんとは一線を期す姿勢を打ち出しており、このビ ジネスに取り組まれるホテルさんは、独自型、葬祭業者提携型、協会ソフト提案型と、完全に三分割される潮流になっていくようになるだろう。

どこに「ホテルらしさ」があるか。どれがお客様のご満足に至るか。「愛」と「癒し」のホスピタリティサービスの戦い、その時代の到来を心から歓迎しています。

 バブル期にドーム球場などを社葬の会場として企画された業者さんもあったが、今後にそんな社葬を開催された企業さんも物笑いの対象となる時代の到来であろう。

 結びになるが、ここに、これからの私の予測をしたためます。

<3年後には全国のホテルの中で20数件が、お通夜、葬儀を積極的に行なっているだろう。また、5年後には、100以上のホテルがそのサービスを提供されている筈だ>

 葬祭式場の流行、それは、「お客様の行き先をホテルに向けさせる」という15年前の予測、見事に的中したという思いがしている。
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