2003-06-13

葬祭業界の変遷     NO 457

お通夜でナレーションを担当してきた。

 故人は明治生まれの100歳のお爺ちゃん。過去に何度か葬儀委員長をつとめられた時にお話したことがあるが、温厚でお洒落な一面が素敵なお方だった。

 8人のお孫さんと4人の曾孫さんがあり、晩年はデイケアサービスのスタッフさんに「かわいいお爺ちゃん」と愛される存在であったそうだ。

 最近お疲れモードの私だが、100歳までまだ44年間もあると考えると、「歳を感じ出した」なんて偉そうなことを言える立場ではないことを教えられる。

 大規模な社葬やホテル葬の司会を担当していると、もう、私の限界も2年かなと思い、今、後継者を育てる行動に積極的に取り組んではいるが、20代や30代のスタッフ達には、私が抱くこんな焦燥感を理解することはないだろう。

  100年を見事に生き抜く。それは偉大な人生だろうが、出逢いがあって生まれた多くの友人達の大半がこの世に存在しないことになり、他人を送ってばかりし て、自身がこの世を出立する時には誰もいないなんて本当に寂しい現実。でも、来世の存在を信じることによって、再会を果たして懐かしく昔話をするという夢 も抱ける筈だ。

 10年一昔という言葉があるが、現在の社会発展では10年というだけでも世の中に大きな変遷が生じるもの。次々に新しく 誕生してくるものに接すると、そのスピードがどんどん速くなる実感が湧き、50年後にはいったいどのような社会になっているか予想もつかない変化があるだ ろう。

 しかし、大切な方を喪った悲しみが変化することはないと信じているし、我々葬祭業が
いよいよ「プロの域」という社会認知を獲得しなければならないだろう。

 それぞれの地で、それぞれのメンバー企業が地道な努力を積み重ねている。一昨日にも東京の二つのテレビ局から取材の申し込みがあったように、今、日本トータライフ協会の非営利活動が話題を集めている。

 地域の囲い込み戦略を主流とする互助会組織や、一般の葬儀社を下請け化させる新たな葬祭ビジネスも潮流となっているが、それらはすべて崩壊の道を進んで行くことになるだろう。

 全国に存在する多くの葬祭業者の中で、今、協会加盟メンバー葬儀社が「安心のブランド」という呼称をいただくようになってきた背景には、葬儀に於ける永遠のテーマである「悲しみの理解」なくして成り立たない現実だけは知っていただきたいと願っている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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