2002-08-17

お盆時の移動から    NO 168

お盆の最中、1400キロぐらいの列車移動をしてきたが、東京駅、上野駅の構内ではまさに夏休みの民族大移動。どこでも子供達の元気な姿が見られた。

 そんな中、黒の略礼服など、一見して葬儀の参列という服装の方々も多く見受ける。全国で1日に約2700名様の葬儀が行なわれている。葬儀に正月もお盆もない。

 そんな思いで過ごしたお盆だったが、それにしても新幹線列車内の携帯電話のマナーはひどいものだ。車掌さんのアナウンスが繰り返されても効力はなし。すべてはその人物の人格と人柄ということになるのだろうか。

 帰阪に乗った「のぞみ」の10号車。通路越しの髭を生やした人物には参った。東京駅から静岡ぐらいまで着メロの鳴りっ放し。初めの頃はデッキに行っていたが、新横浜を過ぎる頃からは横着に座席で大きな声。周りの乗客が顰蹙に。しかし本人はマイペース。

 会話の内容が勝手に伝わってくる。どうやら金融業の方のよう。
期日回収が不可能という報告が入ったようで、激しい言葉遣いが耳障りだが、ここまでくれば羞恥心の欠片も消え失せている。哀れで気の毒な思いさえ感じてくる。

 やっと静かになったのは、浜松付近。しかし、ここから新しい迷惑が始まった。熟睡された「鼾」が強烈で、近くの数人の方々がブーイングに変わる咳払いをされていた。

  途中駅での下車に、座席をリクライニングしたまま下車される人。向かい同士にシートをセッティングし、大声でオシャベリをされる4人組。また、発車してす ぐに前席を方向転換させ、足を投げ出す横着な人。15分後に新横浜から乗車される方があればどうするのだろうと要らぬ心配をしてしまう。

 今、日本の国民文化は乱れている。大人がこれで、中高生の姿を見ていると将来に憂いを覚える。葬儀の式場での携帯電話も遠慮がない状態。悲しみの遺族の後方で私語のざわめきにご導師が振り返られる光景も多くなった。

 葬儀は、その人の人生の集大成。義理の会葬者の割愛という流行もこのあたりが原因しているのだろう。

自身の葬儀がどのようにありたいかと真剣に考える人は少ないだろうが、真剣に考えると、お付き合いする相手も真剣に選ぶ筈。選ばれる人になりたいと思いながらこの原稿を打ち込んでいる。

 今日も大阪の残暑は厳しい。こんな環境で黒のスリーピースは酷である。
近い将来にこれらも変化して行くだろうが、ホテル葬に於ける大半は「平服」となっている現実を踏まえると、早い時期の潮流変化がありそうだ。

 暑い寒いに関係なく人は死を迎えるし、遺族の悲しみにも変わることはないが、自信が人生黄昏を感じて死の床のあることを悟った時、好きな季節の到来までは死と戦いたいと願っている。

 ご葬儀を担当させていただいた多くの方々のお盆。心から合掌を申し上げます。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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