2007-06-02
ノスタルジー NO 1879
先月に行われたある葬儀だが、式場に着くと越路吹雪さんの歌声が聞こえて来る。<!?>と思って司会台の所へ行くと彼女のCDが積み上げられてあり、「故人がお好きだったそうで、ご遺族がお持ちになったものです」という担当スタッフから報告があった。
リズム的にアップテンポの曲であっても、彼女の歌声は葬儀という空間に違和感を感じさせない何かがあると昔から思っているが、今回も改めてその思いを強く感じた。
故人は女性の方、ご高齢の喪主さんがどんな思いで耳にされているのかと思いながら選曲、ご導師退出の後、越路吹雪さんのパレスホテルでのクリスマス・ディナーショーのエピソードを紹介申し上げた。
それは素晴らしい感動の物語だが、今日は触れずに別の話題として、彼女の代表的な2曲についてちょっとだけしたためることにしよう。
まずは<えっ!?>と思われるだろうが、あの有名な「愛の讃歌」は、曲誕生の秘話からすると結婚披露宴で歌うべきではないということになる。
次に「二人の恋は終わったのね~」で始まる「サントワ・マミー」だが、35年前のある結婚式で私の友人がこの曲を歌ったことがあり、その時の光景が今でも鮮やかに思い出される。
彼は、司会者から紹介をされてマイクを握り「この結婚で何処かに泣いている女性がいるかもしれません。そんな思いを託して歌います」と前置きし、堂々と見事に歌い上げ、喝采を浴びた。
一般的に「何と言うことを!」となるだろうが、彼の言葉に何とも表現出来ないようなユーモア感があり、それが抵抗感を完全に払拭したことで盛り上がったと言えるだろう。
過去にピアノを弾きながら「愛の讃歌」を歌ったり、ギターを爪弾きながら「サントワ・マミー」を歌ったこともあるが、そんな私は越路吹雪さんの大ファン、CDやカセットテープどころか、オープンリールの時代から収録テープを聴いていた歴史もある。
人生には様々な思い出の曲が存在するだろう。BSを観ていると、来る11日の夜に映画「めぐり逢い」があると知った。それが「ケーリー・グラント」と「デ ボラ・カー」の出演する映画だったらビデオに収録したいもの。映画の中で主人公のお母さんがピアノを弾きながらテーマ曲を歌う場面が印象的、いかにもロマ ンあふれる大人の恋物語として有名な映画である。
12日の放送は「ティファニーで朝食を」となっていた。確かオードリー・ヘプバーンが ギターを弾きながら歌う場面があった筈。主題曲は団塊世代の誰もが知る「ムーン・リバー」だが、数々の名作を作曲した「ヘンリー・マンシーニ」のオリジナ ル曲コンサートに行ったことも懐かしい。
喪主を務められるご伴侶に、「お二人で観られた映画は?」なんて伺うことも大切なこと。それは子供達さえ知らないことが多いし、そこに秘められた出逢いのエピソードに感動することも少なくないからだ。