2004-05-07
あたたかさに有り難う NO 785
伊達紋別駅に停車する。ホームの向こう側に2本の桜の木があり、花を咲かせている。北海道へ来てから見た初めての桜の花。
もう一週間もすればあちこちで咲き出すだろうが、春を待ち焦がれていた可憐な蕾が一挙に開く頃、様々な花が色と香りを競い合う北国の春の訪れだ。
往復500キロ、特急「スーパー北斗」の車窓風景は絶景がいくつも。
山側を見れば樽前山、有珠山など特徴的な山々が姿を見せるし、苫小牧から函館までの間、その大半で太平洋の水平線が目に入ってくる。
室蘭から函館に向かう間、大きな内浦湾に沿って走る函館本線の象徴的な山の存在がある。その名は「駒ケ岳」
海 が霞み、すりガラスを通すように向こう側に見えていた姿が徐々に近付き、その輪郭がくっきりと現れてくるが、この間に陥ることになる距離感の錯覚、そこに 列車の旅の妙味を感じるだろうし、それは、大沼公園を走行する頃になって時計を見て、やっと「湾」の広さが伝わってくる筈だ。
宿泊したのは函館ロイヤルホテルだが、友人が部屋番号の指定までしてくれていた。
生憎ふさがっていた著名な作家がお気に入りの部屋、そのワンフロア下の「コーナー部屋です」とホテルの方が説明くださり、寒かった函館で心配りをプレゼントしてくれた友人のあたたかさに感謝する。
地元の人しか知らないモダンで洒落たイメージの和風レストラン、そんな配慮も嬉しかったが、次の日の日程が早朝出発というのが辛く、次回はゆっくりとした行程でスケジュールを組もうと帰ってきた。
帰路、列車が登別駅に停車した。駅舎が霧に包まれ幻想的。旅行カバンを手にされた人たちが降りられる。一昨日に宿泊した登別温泉は、ここから車で10分ほどだが、もっと深い霧が立ち込めているだろうと想像する。
室蘭、苫小牧の町並みの中にメンバー達の顔を思い浮かべながら南千歳に向かう。
快速エアポートを10分ほど待ち合わせるホーム、大阪と15度も差異がある気温が肌寒い。
やがて嫌いな飛行機に搭乗したが、機内で出された食事のご飯が冷たい。これは仕方のないことだろうが、ケータリング会社の名称が目に入った。
調理をしているのは「ホテル」とあったが、このホテルと航空会社の義理的イメージだけが残念な出張だった。
今回も多くの方々にお世話になった。北国の人のあたたかさ、それは、もう夏の到来を感じる思い出ともなった。ここに「有り難うございました」と手を合わせます。