2002-07-18

女性の進出     NO 138

変革する葬祭業界の特徴の一つに「女性の進出」がある。ホスピタリティの世界にあって女性のパワーは想像以上で、弊社でも若い女性スタッフのウェートが大きくアップしてきている。

 故人の人生表現を大切に考えると、どうしても取材が重要であり、生前の思い出話しを拝聴するにも女性スタッフが重宝され、葬儀の終了後のケア的なサービスにあっても、やはり女性の「やさしさ」が貴重で、弊社では看護婦の資格を持つスタッフが担当している。

 葬儀の式場周辺管理を依頼する警備会社でもこの傾向が顕著で、交通整理を担当する警備員が男性、女性でお客様の受け止められるイメージが大きく変わってくる。

「ご迷惑をお掛けします。この先で葬儀が行われています・・・」というような看板を見掛けられたことがあられるでしょうが、女性警備員の場合には、「仕方がないな、迂回するか」というご協力につながる「柔らかさが」あり、有り難い存在になっている。 

 さて、葬儀に於ける女性司会者の進出には難しい問題があったことも事実だ。一部のお寺様には「葬儀は男性」とのお考えもあり、強い抵抗感を示された時代があった。

  女性の方に叱られるでしょうが、私が教育した女性司会者達が何人も泣いていたことがあった。「女は魔物だ。葬儀に携わるとは何事だ」という衝撃的なお寺様 も存在していたし、「女性差別です。みんなで抗議しましょう」という問題に発展し、驚いて仲裁することになったことも懐かしい。

 お寺の本堂には「内陣」と「下陣」があり、「内陣」に女性が入ることを許されないお寺があることも現実で、大相撲の土俵や大峰山の伝統習慣を思い出しながら、難しい問題として悩んでいる。

 若い女性の憧れの職業である「航空業界」。私は、何れ、葬祭業界に従事するプロ女性が、それ以上の脚光を浴びることになると予測している。

「家 族が大切な方を亡くされ、突然「遺族」になられてしまう。そんな場合の悲嘆の心理には怒り、猜疑心、絶望感、孤独感、自責感、判断力低下など、様々な非日 常的な心情が生まれるが、何処かに必ず潜んでいる「思慕感」という部分で、女性のホスピタリティが求められることになり、サービス、ケア、プロデュースと いう世界には、女性の進出が約束されているように思っている。

 昨日は徹夜となってしまった。非常に難しい葬儀のシナリオ構成を進めており、明日、そのお通夜が行なわれる。今晩も、恐らく睡眠時間に期待は出来ないだろう。これらはプロと呼ばれる世界では必然のことで、自分にしか出来ないことは自分でやるしかないのである。

 基本的な構成が完成すればスタッフが「かたち」にすることは可能であるが、自分が満足に至らないものはお客様に出さないという信念に押され、いつもスタッフ達に急かされている恥ずかしい現状なのです。

 明日の朝には、ビデオ編集の絵コンテに入らなければならない。それに被せるナレーションの推敲もしなければならない。すべてが時間との勝負である。

 故人にあっては、人生ご終焉の1回限りの重要な儀式。そんな重責を担うと心身共に疲れるが、それだけ遣り甲斐のある仕事であると考えている。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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