2004-12-06

本物の世界   NO 997


 朝から司会の原稿を大幅に変更、「隠れ家」に来られる方々の応対の合間を縫って何とか書き上げ、スタッフに客観的な立場からのチェックをさせた。

 この間、2階では生花スタッフが舞台セッティング中。純日本的な「しつらえ」に苦労をしていたと聞いた。

 問題の「民謡の夕べ」だが、時間通りに出演者の方々がご到着。ご持参された楽器や道具類を舞台に運ばれたが、着替えられる衣装などを含めるとワゴン車いっぱい。控え室に用意した2部屋では<狭かったかも?>と反省している。

 やがて音響と照明のプロが来社、すぐにセッティングを進められるが、機材だけでエレベーターがいっぱい。ホテルなら地下の搬入口から運び込まれるが、弊社は玄関からでもOK。そこだけホテルより便利かも?

 準備が整ったところで奏者の方々と音響チェック、三味線、尺八、ボーカル用など5本のマイク。それぞれの微調整が行われた。

 さあ、リハーサル。津軽三味線の音色が響き渡る。「凄い!」と後方でスタッフの声。やはり超一流と呼ばれる本物は違う。10秒も経たない内に会場空間を一変させた。

 三味線の若い女性が可愛い方、大先生との息もぴったりで見事な腕前、そこに突然「尺八」の音色。それは、これまで私が耳にしたものとは次元が全く違っていた。

 <普通じゃない!>というのが最初の印象。続いてボーカルの音声チェック。音合わせが済むと迫力ある美声が流れ出した。

 <これ、これなのよ!>私が2年前に衝撃を受けたお声、まさか弊社で拝聴できるとは夢にも思わなかった驚嘆の世界。まさに、日本一と称されるプロ集団の世界を感じ、その出会いに心から手を合わせた。

 スタッフ達が交代で次々に上がってくる。<仕事や電話は大丈夫?>と心配だが、誰もが聞き惚れるというよりも引きずり込まれる世界。ウルウルしている者もいた。

 開演の1時間前から来られた方もあったが、朝の会議で決められた椅子の配備がうまく運び、予想人数を超えて本番が始まることに。

 女性司会者も素晴らしい。横に立っていた弊社女性スタッフが「凄いわ!」なんて驚いていたが、「勉強しなさいよ」と返しておいた。

 音響と照明のプロ達が曲に合わせた演出を行っている。1曲が終わった瞬間の素早い色の変化のタイミングが抜群だが、曲の途中の変化も「なるほど!」と感じてしまう「匠」の技術、<すべての歌詞を知っているの?>と思ったぐらいだった。

 途中から客席にも歌声が、完全にお客様も一体化。コーヒールンバや越路吹雪さんのヒット曲「ラストダンス・・」まで、そんなサービス精神に、予定になかった私の謝辞を急遽挿入してもらってアンコール。

 舞台上で短い時間の打ち合わせ、そこで選曲されたのが韓国の名曲「アリラン」で、見事に尺八が旋律を奏でておられた。

 この日本一の皆さん、本当に音楽を愛され、聴く人々を幸せにされる。音楽のプロとは他人を幸福にし、不幸でないようにする宗教者のようにも思える。お帰りになるお客様のお声。全員から「感動した」とおっしゃってくださって大成功だが、次に多かった言葉が気になった。

 「こんな素晴らしい世界だったら、友達を誘ってきたらよかったわ」という残念そうに言われたから。ひょっとして<期待しておられなかったのでは?>なんて思いも抱いてしまう。

 しかし、「有り難う」と、私の手を握ってくださった方々の手の温もりは嬉しくて忘れない。

 高松さん、竹田先生ご兄弟、梅若流のマドンナさん、そして司会者さん、心の扉を開けてくださって感謝いたしております。皆さんとご一緒に合掌申し上げます。有り難うございました。

 さあ、明日は「クリスマス・リースづくり」のお客様をお迎えだ。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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