2003-09-27

命の伝達    NO 558

朝、ホテルのロビーの待ち合わせ場所に行くと、北海道から来ていたメンバーたちが地震のことで大変だった。

 テレビのニュースを見ずに部屋を出た私。地震のことを聞かされてびっくり。彼らの自宅や会社からの電話で早朝から起きていたメンバーたち。さぞかし心労があったことだろうが、直接的な被害が少なくて安堵する。

 さて、モーニングに着替え、迎えの車で式場に向かう。

全国からやって来たメンバーたちと顔を合わせ、リハーサルを進める。

 多くのお寺様による厳粛な葬儀式が済むと、無宗教形式による「慈曲葬」。担当プロデューサーが構築したシナリオに基づき流してみる。

 映像、音楽に合わせスタッフが動く。それぞれが与えられた使命を懸命につとめる。進行に携わるメンバーはプロばかりだが、機材の性能というところで少し問題があり、曲と曲の「間」という大事な部分が惜しかった。

 やがて、本番。夜中の3時に完成したという台本を手に、自分の担当する部分を懸命に努めた。

 司会は男性と女性の組み合わせ。重いところを私が、やさしく包む部分をベテランの女性司会者が担当したが、命の伝達バージョンと命名した3分50秒のナレーション。一段高いキーでスタートしてしまい、途中で調整することになった。

 メンバーたちや参列の皆さんが共通して感動したことは、喪主の謝辞と友人による弔辞。

 喪主の謝辞に、「100点満点で300点だ」と感想を伝えると、彼が、ほっとした表情を見せたのが印象的だった。

 内容やまとまりだけではなく、抑揚や発声も素晴らしく、<もっと司会を担当するべきだ>と、もったいない気持ちを抱いたが、葬儀社の後継者は、先代を送る喪主になって一人前。親の葬儀は自身を大きく変える機会でもある。

 彼は、きっと大きな自信をもっただろうが、「自身」の「自信」に「地震」という予期せぬハプニングもあり、また、忘れ得ぬ葬儀の体験となった。

 それぞれのメンバーたちがそれぞれの地へ帰って行った。どうにもならない仕事で東京や九州に一番列車で帰った人もいたが、葬祭業とはそんな宿命を背負った仕事でもある。

 お客様のご不幸に接するサービス業だが、自分の身内の葬儀には複雑な思いも生じるが、プロとして、お客様にも、そして自身にも心残りが発生しない葬儀を心掛けたいもの。

 彼やスタッフ、そして弔問に駆けつけたメンバーたちの明日に、この葬儀が大きな転機となってくれるような気がしているが、ちょっと、お疲れモードで帰阪。ここでエンターボタンとさせていただくが、10分ほど日付がオーバーしてしまった。お許しを。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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