2003-06-03

返 信    NO 449

事務所に立ち寄ると、私宛の郵便物が束ねられてあった。

 その中に白い封筒の手紙らしきものがある。全国から多くの手紙を頂戴するが、その手紙、ふと差出人が函館市の女性であることだけを確認して封を開けた。

 彼女は函館に住んでいるそうで、「私がやらなければ」と叔母さんにあたる方の介護の日々を過ごしていることが綴られてあった。

 そんな彼女と知り合ったのは、今年の春。私が講師を担当していたセミナーを受講されていた折。終わって数分の会話をしたが、数年前に来社されたことがある事実と、この時の講演を主催者側が伝えるインターネットで知ったと言われて驚いた。

 数年前の来社、私はうっすらと記憶していた。開発された新しい商品提案が目的で来られ、その際、葬祭業界の将来について私の哲学を話していた。

 その後、彼女は他府県に在する大手の葬儀社に入社され、かなり活躍されていたと伺ったが、そんな彼女が介護という止む無き事情で仕事を辞められ函館にいる。

 手紙、それは彼女の感性が滲み出るものであった。したためられた文章表現力、構成力が伝わり、結びのページにプリントされた「すずらんの花」や「宇賀浦から望む函館山」の画像に、彼女が葬祭業という仕事にどんな思いを抱いていたのか分かったような気がした。

  講演の際に「仕事を辞めて函館に行くことになります」と言われた時、葬儀の仕事に従事するなら函館に懇意にしている業者さんがあると伝えていたが、その業 者さんと面談されたとの報告も書かれてありホッとしたが、この手紙から伝わる感性に、弊社のスタッフとして迎えたい気持ちが生まれてきた。

 彼女がおられる北海道は、函館の他に、室蘭、苫小牧、石狩に私が懇意にしている葬儀社が存在しているが、彼女が働くことを望まれた時、きっと彼らが大歓迎で受け入れてくれると確信している。

 葬儀について真剣に研鑽を重ねていた彼女、マニュアルしか必要でない大規模な葬儀社
では「ダイヤ」も光り輝くことは出来なかった筈。しかし、彼女が今体験されている介護という辛い思いは、また、彼女の持つホスピタリティに大きな磨きを与えるものだろう。

 『人は辛い思いをしただけ他人にやさしくなれるもの』

そんな言葉があるが、それらは葬祭業に従事する者に最も大切なことだけではなく、人として生きるうえでの何より重要なことで人格形成につながるもの。

「独り言のファンです」と添えられてあったことに感謝を申し上げながら、この独り言の紙面でエールを贈らせていただきます。

「いつか、朝や春が訪れることを願っています」
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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