2003-08-27

ダブルパンチ    NO 528

カッターシャツの胸のポケットで携帯電話が震えている。場所は、クリニックの待合室。急いで外に出てボタンを押す。

相手は、東京のメンバー。「今晩、札幌で宿泊し、明日、大阪に飛びます」というが、次の日は名古屋に行くとのハードスケジュール。やはり若いメンバーはパワーがある。

 続いて、また、ブルブル。表示番号を見ると事務所から。すぐに出る。

 「社長、エライことですよ。どうします?」 いきなり、そう言われて驚いた。

 この数日、募集の問い合わせに関する電話が増えてはいたが、ついに業務に差支えが出るほどの状況を迎えているとのこと。

 昔、人材募集を新聞広告で行ったことが何度かあったが、当時の葬祭業のイメージが悪く、反応がさっぱりだった時代が信じられない。

 葬祭業は「お客様に選ばれる時代」の到来。だから斜陽産業だというのが私の考え。しかし、高齢社会の到来を単純に成長産業と捉える考えが強いようで、そんな社会風潮が応募の問い合わせの背景となっているようでもある。

 「社長、ご存じですか。みんなインターネット。おかしいと思ってグーグル検索で確認したらとんでもないことになっていますよ」

 『 葬儀 スタッフ 』・・・・・・・・・17000件でトップ
 『 葬儀 募集 』・・・・・・・・・・・19900件でトップ
『 ホテル スタッフ 募集 』・・・・105000件で2番目

 「それから、『独り言』に書かれた『慈曲』のBGMから、『慈曲』ページへのアクセスが殺到しています。音楽を入れたことを内緒にされた方がよかったと思います」

 そんなダブルパンチの電話、ハイテクに弱い私には「ピーン」と来ない話だが、最後に言った彼女の次の言葉で重荷を背負った。

 「次から次に履歴書が届いています。人事担当が大変だと嘆いていましたから。報告、以上です」

 そこで、北海道のメンバーである苫小牧・室蘭市民斎場の社長が、今年の春に体験した話を思い出した。

 「若干名の募集に120名の応募があったのです。全員、私が面接をしました」

  1人10分平均で20時間。確か2日間を費やされた筈。そんな光景を思い浮かべながら身震いがするが、「人材」は「人財」であるとの考え方を共有している し、葬祭業は、人生を掛けるべき立派な仕事と誇りを抱いているのが協会のメンバー。応募された方に失礼のないように命じることにした。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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