2003-04-06

内緒話の『独り言』    NO 392

夕方に東京を出発、渋谷から東名に向かったが、名古屋まで大雨と強風で神経を遣う運転となった。

 遠回りでも車の少ない関越、長野道、中央道をと考えていたが、インターネット道路情報を確認すると、一部でタイヤチェーンの装着が必要で通行止めの区間もあり、東名を下ってくることにした。

 もう一泊する予定であったが、私が司会を担当しなければならない葬儀が入っており、深夜の上京、深夜の帰阪という強行軍であった。

 さて、今日の式場の前に大きな公園があり、桜が満開。花見の方々が大勢来られ、中には焼肉パーティーをされているグループがあるようで、昼時の空腹に辛い香りが式場に流れてきていた。

 定刻で始め、定刻でご出棺となったが、瓜破斎場の入り口まで行くと、入場道路の両側に駐車スペースがないほど車が停められている。これ、また、ずべてが花見客。瓜破斎場の桜はなかなか見事な花を咲かせ、花見客の隠れた穴場となっている。

 桜の木の周りはお墓がいっぱい。中央の通路を次々に霊柩車が通る。そんなロケーションでの花見は、きっと諸行無常の理(ことわり)を知られることになったと思っている。

 『故人に人生を称えるかのように桜の花が咲き誇っています』

 『一輪一輪と散りゆく風情にもの悲しさを覚えます』

 『桜の花をご覧になられた時、故人のことを思い出してくだされば何よりお供養』

 そんな言葉をナレーションに散りばめたが、10人のお孫さんと2人の曾孫さんに見送られた90歳のお爺ちゃん。祭壇に飾られたご遺影が「有り難う」とおっしゃっておられるように見えた。

 今は、学校が春休み。小学校の制服を着られた孫さんが多かったが、もしも学校が始まっていたら来れないこともあった筈。それだけがご本人にとって大きな救いであったように思われてならないところ。

 過去に、「孫の受験があるので」と、葬儀を1日延期されたケースがあったが、人生には身内や他人の葬儀と、自身の行動予定を天秤にかけなければならないことも多いもの。そんな悩みに何度対応してきただろうか。

 どちらを選んでも後悔にならないこと、生涯の心残りにならないようにと願っている。

 さて、ここから「独り言」・・・内緒の「独り言」です。

 今日のお布施は高額であった。スタッフ達が驚愕していたが、ご遺族も強い抵抗感を抱かれておられたようだ。

納得の生まれる説得があれば高額も許されるだろうが、「これだけ用意してください」と言われたそうで、こんなケースの場合、葬儀社という中立の立場を貫くことは難しいもの。

葬儀の変革を求める社会の声、今日も、近い将来に必ずや訪れてしまう時代の変化を感じる葬儀でもあった。「宗教離れ」よりも「宗教者離れ」に重要な問題があるのでは?
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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