2003-04-05

ホテルの部屋で   NO 391

日付が変わって、時間は午前2時を回っている。

 昨日の葬儀を終え、夕方に車で大阪を発ち、やっと東京のホテルに着いてこの原稿を打っている。

 大阪から東京まで大雨。トラックの水しぶきを避けるため、名古屋から車の少ない中央道、環8を通って都内に入ったが、新宿から池袋間の地下鉄工事の影響で交通渋滞に遭遇し、思わぬ時間の消費をしてしまった。

 午前0時を過ぎても車の洪水。さすがに東京の副都心だが、長距離運転の疲れがピーク、改めて齢を感じる。 

さて、昨日の葬儀だが、桜の木が満開という式場だったが、桜を謳ったナレーションを創作し、女性スタッフにナレーターを任せたが、まあまあ合格点というところであった。

 導師入場の前を設定していたが、ご住職とは何十回とお会いしたことのあるお方。無理なお願いをして、導師の引導の後にナレーションの組み入れることを許していただくことになった。

 担当ナレーターが緊張しているが、目を見るとやる気満々。彼女の喋りやすいシナリオを創作し、いつもより短い4分35秒バージョンで担当させた。

 事務所に帰社すると、「ビデオの吹込みが溜まっています」と言われ、なんとか協力をしようと隠れ家に入ったが、最近、私の吹き込み時におかしな兆候が出てしまい困っている。   
ナレーターを始めてしばらくすると喉がくすぐったくなって、すぐにNGなってしまう。

 これらは緊張感の欠如が原因で、本番に強い私の泣きどころとなっている。

 とにかく薬を服用して風呂に入ろう。今日の天気予報はそのまま雨。こんな天候が大規模ホテルの強み。強風が吹くとの気象情報もあったが、外は嵐でも中は別世界。

 ホテルでの社葬が増えたのは、そんな環境の空間が歓迎されたことも大きい。

 3年ほど前の暑い時期に、社葬のプロデュースを担当しホテルを提案したが、施主側の会社の社長さんが抵抗感を抱かれていた。

 メリットとデメリットを分析した提案書が功を奏したのか、やっとホテルということになった。

 さて、当日、暑いだけではなく、スコールのような強烈な夕立が何度もあり、「君に感謝する」と喜ばれたことも懐かしい。

 時代は変わった。社葬はホテルがあたりまえになっている。社葬の通知状を受け取られた方々にも「ホテル会場」が歓迎されているようで、酷寒、酷暑の時期には、ホテルでない場合は得意先からクレームの電話もあるのだから驚く。

 ホテルでの社葬、偲ぶ会、お別れ会は確実に増えているし、今後ますます増加することは間違いないだろう。しかし、会場空間の提供と食事というおもてなしを売り物のしているホテルの凋落が始まっているのも確か。

 ホテルが謳うサービスの基本である「ホスピタリティ」は、ご遺影の存在に対する礼節と、悲しみの遺族への癒しと慰めこそに意味しているもの。

 私の構築した葬送ブランド「慈曲葬」は、この部分を重視したものであり、ご体感くださった方の「口コミ」という地味な広がりを感じ、今、一流と呼ばれるホテルに認識されるに至っている。
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