2002-07-27

頑固なんです    NO 147

葬儀に於ける親族の「焼香順位」は厄介で、悲しみのご遺族に大きな負担になっているようだ。

 古い時代には相続の順位にも関係したしたそうで、その名残があるのかは知らないが、21世紀を迎え、もう意識改革をしてもよいのではと思っている。

 親戚を割愛し、遺族だけの焼香順位なら、どんな方でも5分も要すれば作成可能だろう。
しかし、何十人もやって来られ、来るか来ないかも解らない親戚をすべて網羅するとなれば大変で、これは体験された人にしか分からないだろうが、抜け落ちでもあれば確実に尾を引く揉め事に発展するので恐ろしい。

 私が司会を担当していた葬儀で、信じられない光景を見ることになったことがある。
 それは、お寺の本堂で行なわれていた葬儀で、約60名の焼香順位を手渡され、導師の引導後に喪主からの親族焼香が始まったが、20名ぐらいを経過した頃、突然、着席していた数人の親戚達が「気分が悪い。帰る」と言い出して、下駄箱から履物を出し始めたのである。

 私も驚いたが、ご遺族の驚愕振りが想像できるだろうか、「待ってください」という言葉だけで引き止めようとされるが、その人物達は手も合わさずに帰ってしまった。

 葬儀の最中のハプニング。当然、式場内の親戚達が騒がしくなる。皆さんに背を向けられて真剣にご読経をされる導師さんに申し訳がないが、次々に芳名を読み上げていかなければならない私の立場も複雑だ。

 葬儀が終わり、火葬場に向かう車の中で、喪主さんが導師さんに謝罪をされ、詳しい事情を伺うことになったが、離婚問題が複雑に絡み、「当家より、なぜ**家が先にするのだ。気分が悪い」ということだったそうだ。

 葬儀とは何だろう。参列する、会葬するということはどういうことなのだろうか。焼香を目的に来ているのだろうか。葬送の原点をもう一度考えていただきたい問題である。

 日本人は、何かに付けて順位にうるさいようだ。供花、弔電などにもあるし、「順不同」という言葉が滑稽でならない思いである。

 代表焼香や弔電の順位でも肩書きばかりが重要視され、最も大切にされなければならない友人や文章内容が無視されてしまっており、嘆かわしい限りだ。

 ある時、喪主さんに説教染みたことを言ってしまったことがある。故人であるお父様が勤めておられた会社の親会社が、なんと喪主さんの勤め先であり、喪主さんは自分の会社を先にと考えられたのであった。

「葬儀は故人優先です。お父様の会社が先です。子会社の中小企業であっても優先するべきです。それで親会社が文句を言って来られたら、私が責任を取って相手の社長に談判をします」

 そんなことを言ってしまったのは、私が30代の頃。しかし、まだ成長出来ていないようで、未だにその時代の考え方が変わっていない頑固者なのである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
携帯で下のQRコードをスキャンするか
 または
携帯に下のURLを直接入力します。
URL http://m.hitorigoto.net