2002-03-12

ビジネス社会へ・・内緒の話のプレゼント

毎日、全国各地で「社葬」が何件も行われている。大手企業の秘書課、総務、営業担当は、ロッカーに礼服や黒ネクタイが常備されているのは常識である。
 そんな社葬の会葬者の7割は、義理的参列者。つまり「名刺」を参列の「証」として届けられることを目的とされている。

  ビジネス関係からの依頼で講演を担当するとき、社葬の今後の変化予測、ホテル葬、そして参列マナーなどを話しているが、一流のビジネスマンでありながら、 社葬がビジネスの大きな機会であると同時に、危機管理の対象となるべき問題を秘めているという認識欠如の現実に驚いている。
 もちろん、黙々と参列され、やがて案内される焼香の際に手を合わされておられることは尊いことではあるが、参列者の中には、「自身が義理の会葬」という姿を、はっきりと見られてしまう危険性があることは意外と知られていない。

  これは、私達スタッフも同じことになるが、何より恐ろしいのはカメラとビデオの存在である。これ幸いというかたちで行われる参列者同士の名刺交換、ゴルフ 談義、知人との会話に生まれる笑み。それらが、取引停止や担当者変更につながった例が少なくないことを知っていただきたいところだ。

 社葬の後日に必ず行われるビデオ放映会。その大きな目的は、「誰が参列されていたか」「参列者に失礼はなかったか」「御礼に行くべき方々の再確認」などであるが、映像の中に上述の姿が映し出されたら悲劇の始まりとなる。

 私達プロは、ご葬儀担当の場合で撮影依頼を受けた時、そんなトラブルが発生しないように必ずチェックを行うが、そんな工程作業を踏む葬儀社は稀であろう。

 あるホテル社葬で、お客様が直接に撮影依頼をされ、有名ビデオ専門会社が収録されるというケースがあった。
やがて、後日、編集ビデオの確認を、ホテル側の懇願でプロデューサーの責任の立場で映像確認を依頼されたことがあったが、もしもそのまま、お客様が入手されていたら大変なことになる発見をして、非常に感謝されたことがあった。

 その場面は、献花を済まされた方々が過ごされる会食風景。談笑する方、お酒を楽しそうに飲まれる方、お料理をお口に運ばれようとする方など、それこそバラエティーにとんだ光景が登場するわけだが、私は敢えてそのままの映像を残す決定をアドバイスすることにした。
  「プロなのになんと意地悪なことを」とお怒りになるかも知れませんが、これは、嫌がらせではありません。実録を大切にしたかったのです。しかし、ご安心く ださい。誤解の生まれないように事情説明として「種明かし」をいたします。実は、BGM変更の指摘だけを行ったのです。

ビデオ会社が挿入されていた曲は、いかにも葬儀らしい暗い旋律。私が差し替えた曲はやさしい癒し形の音楽でした。プロである筈のビデオスタッフ達が驚愕されました。それは、たったそれだけで次のような変化が起きていたのです。
暗い音楽・・<楽しそうにしやがって><タバコを吸いやがって><呑みやがって>
 そんな怒りがご覧になる施主側に発生します。しかし、やさしい癒し形の曲になると「忙しい中、わざわざ会葬にきてくださって有り難いことだ。こんなひと時を過ごしていただいて本当によかった」

 皆様、是非、実験されることをお勧め申し上げます。音楽とは不思議なものなのです。ご体感をいただければはっきりとお解りになる筈です。

 今日もどこかで、ビジネスマン達の悲劇が起きているかも知れない・・・・・・
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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