2016-03-25

小説から  NO 4804

地蔵菩薩と十王車載カメラや防犯カメラの進化は著しく、20世紀には見ることが出来なかった映像がテレビ番組を通じて視聴者に伝わる時代となっている。

過去に台湾の旅客機が高速道路を掠めて墜落した映像も衝撃だったが、東京でパトカーに追跡されていた乗用車が交差点を信号無視してタクシーに衝突した映像には衝撃以上の社会の恐ろしさを感じた。

まだ酒を飲んでこんな運転をする人間がいる事実に腹立たしいが、被害者となってしまったタクシーの運転手さんも気の毒過ぎるし、負傷された方々は想像もしなかった災難に遭遇したことになる。

トルコからシリアに入国しようとして国外退去となり、関西空港へ帰国した和歌山の若い人物も理解出来ないが、テロや内乱の報道事実を目にすると「命の教育」や「あの世の教育」を真剣に考えなければならない思いがする。

30年ほど前に「葬儀屋七万歩才のあの世の旅」という小説を書いたことがあるが、それがきっかけで大手新聞社の編集委員と対談することになり、当時で注目されていたその方の紙面コーナーに大きく採り上げられたこともあった。

新聞の影響は想像以上で、あちこちから「読みたい」という郵送物や電話があってびっくりすることになったが、読まれた方から感想文を頂戴したこともあって嬉しい思い出となっている。

その中に「この本は良書です。子供達に読ませたい内容です。書かれた葬儀屋さんに敬意を表します」というのがあって私の宝物みたいにしていたことも懐かしいが、当時から「あの世」について興味を抱いており、やがて学んだ「十王経」からヒントを得て小説にしてみようと行動したものであった。

これまでに何度も書いたことだが、おかしな若者達が増えて来ているみたいなのでもう一度その要点に触れておこう。

この世で最高に良いことをした人と最高に悪いことをした人の次世界は決まっているが、それ以外の人は1週間を区切りとして「宙有」や「中陰」にあると言われ、初七日から始まって7回の裁判を受けるというのが「あの世」の世界で、どんな人であっても49日には行先が決定するところから「満中陰」となり、この7回の裁判官の他に「百箇日」「1周忌」「三回忌」の裁判官3名加えて「十王」と称し、誰もが知る「閻魔大王」は35日の担当で、最初に亡くなった人間という謂われもあって騙され易く、元は初七日担当だったが地獄行きの人に騙されて極楽に送ってしまうことが問題になり、35日担当となり、騙されないように生前の行いが全てビデオ映像みたいに映し出される「情破離の鏡」というものが存在するので嘘がつけないという物語である。

登場する主人公は葬儀屋だが、突然あの世の世界に迎えられてしまい、あの世の裁判官と会うという奇想天外なストーリーだが、途中で出会う大阪商人とのやりとりもあり、その人物の葬儀を「あの世」から見物する光景もあるので結構面白かったという感想もあったし、最後に謎が一気に解ける予想外の展開で終わっているのが話題になった事実もあった。

今日の写真は石仏で知られる臼杵にある地蔵菩薩と十王の像を。
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