2015-09-05

司会者泣かせの弔電  NO 4302

栗ネットの広告の中にNTT東日本が弔電について掲載していた。「弔電25文字693円から」「3日前申し込み157、5円割引」「19時までなら即日配達」とあったが、「3日前」というのは全国的に当て嵌まらないサービス提供だろう。

お通夜の当日に訃報を知って弔電を送るケースが大半らしいが、高齢社会到来による全国的な火葬場不足から葬儀の日程が数日後というケースも増えているし、東京のように民間経営の火葬場の存在から「特賓」「特等」「一等」「二等」なんて火葬料金の区別があるところから、「当家は特等以上でないと」と予約可能となるまで待たれるケースもあるので、1週間後という現実も起きている。

前にも書いたが、東京の親戚の訃報があった時は、お通夜や葬儀の日程を確認されてから行かれるべきで、すぐに駆け付けて数日を東京で過ごさなければならない事態に遭遇されないことを願っている。

冒頭の弔電価格の「から」という言葉に問題が秘められている。我々葬儀の司会を担当して来た立場にあって、弔電は正直言って考えたくない代物で、「押し花」「線香入り」「漆塗り」など様々で、それによって厚さが異なることもあって捲り難い問題もあるし、ケースのみが豪華でも電文の明記されたプリントそのものはお粗末なプリント一枚が挟まれているだけで、扇風機の風で飛ばされたら大変なことになってしまう。

スタンドマイクなど固定マイクを使用する時は両手が使えるので問題ないが、ハンドマイクの場合には片側の手で次々に捲って行かなければならず、いつもスタッフを側に置いて捲らせる作業をさせていたこともあった。

順不同で代読ということが常識になっているが、本音としては定番型の文章でないオリジナル文章の内容の順位にしたいが、やはり肩書きが優先されてしまうので寂しい思いを抱いていた。

数千円もする立派な漆塗りの弔電だが、お粗末なプリントにお粗末な決まり文句の電文が入っている。如何にも義理的なイメージを感じるが、神道のお葬式に線香入りの弔電が届いて顰蹙を買った出来事もあった。

配慮したいのが順位の問題で、故人の関係、喪主を務める長男の関係、次男の関係などの順になるが、ここで気を付けたいことがある。喪主さんが勤務される会社の全国支店から届けられていても、社長と役員だけにして次男さんの会社に移るべきで、全国の支店の分をずっと続けて読み上げていたらおかしいという意見が出るのも当たり前で、私のアドバイスから喪主さんの会社関係は社長、専務、常務の3通。続いて次男さんの会社の社長と専務。そこから長男さんの関係する支店などを組み込んだら、葬儀が終わったあとから会葬者から「弔電の順位が考えられていたね」という賛同のお言葉を頂戴したこともあった。

ある葬儀で弔電順位の打ち合わせをしていた時、故人が定年後も嘱託として勤務されていた会社の物より、喪主を務められる息子さんの会社の方が大きいからそちらを優先して欲しいと言われたが、それは間違っているとアドバイスをした出来事もあった。

1000通以上の弔電が届いた葬儀を担当したこともある。200通ぐらいの代読を命じられて「もっと割愛するべきです」と提案したこともあった。指導していた地方の葬儀司会者がその地では全ての弔電を電文共に代読するのが慣習だそうで嘆いていたが、誰かがおかしいと指摘しなければ変革は不可能だろう。

さて、今、難しい問題に取り組んでいる。私がこの仕事に従事して来た最後の仕上げとなるような「かたち」を創造するテーマで、間違いなく私にしか不可能な問題であると自負している。もう構想は出来ている。後はそれを具現化して伝えることだけだが、これも全国的に文化として流行する可能性があるのだろうかと期待と不安のこの頃である。

今日の写真はもうすぐシーズンを迎える大好物の栗を。昨年に広島の「ピピの日記」から拝借した写真である。
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