2015-10-08

プロの仕事  NO 4335

慈曲葬 祭壇の一部電車の中で吊り下がっている広告のポスターに目が留まった。2人の女性が着物姿なのだが、その柄が宣伝の文章文字になっており、温泉県として謳っている大分県の広告で、なかなか秀逸な作品だった。

大分県は動画でも話題を読んでいる。シンクロをシンフロというかたちにして温泉や砂湯、泥湯の中でシンクロの映像を撮影しているもので、再生して観た人がびっくりするほど多いそうである。

地方創生という言葉が目立っているが、自治体が観光や産物の宣伝に力を入れているケースが多いが、広告専門の会社が依頼を受けて制作している作品もあるそうで、話題を集めれば広がるという相乗効果がシナリオにあるようだ。

広告宣伝に関して驚く出来事が続いている。今月に入ってから数社の葬儀社のパンフレットやチラシがポスティングされていたからで、その中に「保存版」という表記まであるのだから恐ろしい。今や「何でもあり」という様相だが、我が業界がいつから無神経なポスティングをするようになったのだろうか。

業界関係者の指摘することにポスティングする葬儀社は危機状況に陥っているという分析もあった。形振り構わずという姿勢のようで、気分を害される人の存在を無視しているのだからどんなレベルの葬儀が提供出来るか想像がつく。

「家族葬の事前相談をされませんか?」「無理のない、充実した家族葬」というキャッチコピーもあったが、そもそも予算というものはお客様が決められるもの。その姿勢が悪質でない葬儀社の対応である筈だ。

全国で家族葬が潮流になっているが、その形式で進められて後悔されているケースも少なくない。家族葬に秘められたリスクもプロなら伝えることも重要である。

過日に北海道で葬儀のプロ達の研修会が行われたが、そこであるパンフレットのことが話題になった。メンバーの葬儀社が制作したパンフレットが宗教者の中で注目され、しっかりと「命」というテーマに取り組んでいるところから「これは宗教者が啓蒙しなければならない内容だ」と賛辞されたそうだ。

そんな社会告知的で啓蒙につながるような広告が制作出来れば理想だが、ポスティングをする葬儀社とは雲泥の差があると思ってしまう。

6年半前に大病を患って入院をしたが、その時に医学的な文献を繙いて調べたことがあった。「脳死」と「植物人間」とは異なる事実を知ってびっくりしたし、後者は「脳幹」のみが機能している状態をいうそうだ。

「大脳」は「知識・感情・運動・意識」を司り、「脳幹」は「心肺を動かし、生命の基本」を司るもの。「小脳」は「潤滑油の役目を果たし、左右の手足」の動きを司るとあった。

世界で初めて心臓移植が行われたのは1967年で、我が国ではその次の年である1968年に症例記録がある。

アイバンク、イヤーバンク、腎バンク、骨髄バンクなどの存在があるが、臓器移植に関しては複雑な法律をクリアしなければならない問題もあり簡単ではない。本人が登録されていても遺族という立場になった家族が反対するケースもあるのも事実。「献体」などこれまでに担当した葬儀で学んだこともあったが、どんなことも法整備と「イタチごっこ」という環境が否めない。

我が業界は他業種に比較して20年ぐらい遅れていると指摘された歴史があるし、葬祭業者の常識は非常識と揶揄されていた一面もある。業界や宗教者団体向けの講演を多く担当した歴史があるが、意識改革を目的として刺激的な発言をテクニックとして用いたこともある。そんな懐かしい昔について時代が流れ、指摘していた通りになったので驚かれている昨今である。

今日の写真は2000年に発表して話題になった「慈曲葬」の祭壇の一部。柩の周囲を回ってお別れ出来る発想となっているが、テレビ、新聞、週刊誌にも大きく採り上げられることになったので印象に残っている。
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