2015-10-03

20世紀に予見したこと  NO 4330

研修会から昨日は爆弾低気圧の北海道で大変だったし、伊丹空港での全日空機の離陸中止による滑走路閉鎖の影響で出発が2時間遅れたが、その機に搭乗されていた乗客の心情を拝察すると事故に至らなかって幸いだった。

今日も新潟から福岡に向かう全日空機が計器に異常を知らせる問題が発生、関西空港に緊急着陸をしたニュースがあったが、どちらにも共通して想像出来るのが整備不良。ちょっと緊張感が欠けているような気がしてならず、飛行機嫌いがいよいよ強くなってしまう。

さて、過日の水曜日は「まぐまぐブログ」の送信日。我が葬祭業が隙間産業であり、様々な異業種が参入して混沌としている現実にも触れた。

もう20年ぐらい前のことだが、予想もしていなかった組織団体から講演を依頼されたことがあった。当日に会場に行って驚いたのは参加者全員が「総研」の幹部の人達で、多くの銀行や証券会社の役員さん達がいたからだ。

なぜ私を指名したのかを主催をされていた幹事さんが冒頭で説明されたが、ありとあらゆるコンサルタントが葬祭業は高齢社会を迎えて成長産業と言う中で「斜陽産業である」と断言していたのが私だけで、その発言に興味を抱かれた人物が私の話を聞こうと開催されたものだった。

その中で「宗教離れ」「お互い様感情の稀薄」「徹底的に無駄を省く時代」「儲け主義で通るのは20世紀で、21世紀は歓迎と社会賛同が不可欠の時代」と解説し、我が葬祭業が完全に斜陽産業であると断言した。

また葬儀の専門式場の流行はお客様をホテルに追いやる結果も考えられ、ホテルを会場とする葬儀が行われることになるが、ホテルが得意とする「おもてなし」と「食事」を優先させるとその世界も崩壊の道に進み、「御斎(おとき)」の前の第一部を重視しなければ大きな問題があると指摘していたが、それらは全てその通りになって私自身が驚いている。

そんな話が衝撃的だったようで、1ヵ月後に多くの参加者があってもう一度講師を担当することになったが、質疑応答で2時間ぐらい対応することになったので大変だった。

その時に日を改めて行われる社葬が大規模寺院からホテルに移ると断言していたが、それはブライダルがホテルで行われるようになった歴史を辿ると解説したら、皆さんが「なるほど!」と納得されることになった。

神社で結婚式が行われ、披露宴をホテルでどうぞと提案していたホテル業界が、挙式をホテル内で行うことが出来れば移動する必要がなく、ホテル内に神殿や教会そのものを設置して流行が始まった歴史があり、それに伴う「貸衣装」「メーキャップ」「美容室」まで設置、出席者が宿泊されることにもつながり、現在では当たり前になっている状況に至ったのである。

一方の葬儀は、厚い寒いの問題や風雨という自然の気象問題も絡み、エアコン生活に慣れた人達がお寺の境内に設置された仮設テントで耐えられる筈はなく、一部ではなく参列者全員がエアコンの恩恵を被る環境が求められ、その先にホテルという会場が存在していた訳である。

そんなホテルで行われるオリジナルな葬儀を世に発表したのが慈曲葬だったが、それは
全ての新聞記事に採り上げられ、中には一面のカラー記事になったのだから驚いたが、多くのテレビ局でも特集され、NHKやビジネスサテライトで「成長が間違いない最前線の情報です」と紹介されたことにはびっくりだった。

そんな中で私が最も驚いたのは予想外の展開で、民放なのにCMを一切流さない読売テレビの「宗教の時間」に特集されたことで、宗教者が紹介される番組に葬儀社が採り上げられたので信じられなかったが、慈曲の作曲を担当した高橋三鈴さんと監修を担当した我々2人がインタビューを受け、ホテルで実際に行われている光景も紹介されていた。

「宗教の時間」は後で知ったことだが、読売グループで誰もが知られる「正力松太郎さん」のお言葉から、民放でも教養番組は重要で、CMを入れずに続けることになった有名な番組だった。

今回の北海道研修会では神戸の公詢社の吉田社長も来られていた。彼はラジオN番組を担当しているし、自社のHPの中で発信されているブログの人気も高い。来月に著書を出版されるそうで、その中に私のことにも触れてもよいかと聞かれたので、悪口でも何でもご自由にと返しておいた。

振り返れば不思議なご仏縁があった。彼は今年で還暦を迎えたそうだが、そのバイタリティーはメンバー全員がびっくりするほどパワーに溢れている。阪神大震災の時に2千数百人の犠牲者のために携わられた体験談も拝聴したことがあるが、悲しい体験を多くすると優しくなるのは間違いない事実。

今回の研修会の中の講演で「ブルースト」の有名な言葉を引用したが、それは「幸福は身体にとってためになる。しかし、精神の力を発達させるものは悲しみだ」というもので、彼がまさしくその一人のような気がしている。

今日の写真は北海道研修会のひとこまを。
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