2018-05-22

天然の美  NO 8205

過日に大正琴 友弦流コンサートから平山温泉で過ごした際、今回もお世話になった友人の同業者が「三線」に挑戦していると聞いた。

沖縄の楽器として知られる「三線」だが、彼は何れご自身が経営される法要専門会食場の「以和貴」で独演会でも行われると想像しており、その時は是非参加したいと楽しみにしている。

昨夜のBS番組「フォレスタ」を観ていたら懐かしい名曲「天然の美」を歌っていた。サーカスやチンドン屋で演奏される曲として知られるが、典型的な「ジンタ」のリズムであり、ヨーロッパのワルツ的な三拍子ではなく朝鮮のアリラン的三拍子と解説している専門家もいる。

この曲の作詞者は滝廉太郎の名曲「花」の作詞者として有名な人物だが、よくぞこんな歌詞を創作されたものだと感嘆する。

「幸せ列車」のHPのリンクボタンに大正琴「友弦流」家元として有名な「植山繁子さん」があるが、「ジンタ」という言葉が登場したことから2012年8月に京都のコンサートホールに行ったことを思い出した。

この「独り言」で書いた感想文が「友弦流」の広報を担当されている管理人さんによって、「友弦流」のHPにしばらく掲載されていたことがあり、今日はその文面を転載する。

古都のコンサート  NO 3024   2012 8-24

今日「金曜日」は「幸せ列車」のメールマガジン送信日、本日の内容は「退院したくない」というタイトルで二つの病院の話題だった。世の中にこんな病院が実在している。霊安室が海の見える最上階で天国に一番近いという発想も素晴らしい。もう退院出来ないと覚悟して入院するならそんな病院が最高だろう。

さて、昨日に行った京都コンサートホールのことだが、京都駅でハプニングがあって到着がぎりぎりで間に合ってヒヤヒヤものだった。玄関から2階へ上がって行くのにバリアフリーを考慮した設計なのだろうか、傾斜のある広い廊下風になっており、外側の壁には著名な指揮者の写真とサインが入った額が並んでおり、 晩年まで指揮をされておられた朝比奈氏のお写真もあったので手を合わせた。

咋号で「参加者はラッキー」と書いたが、その意味の一つがこんな会場で演歌が聴けるという奇跡的な体感で、今日は同じ会場で「佐藤しのぶ」さんの「蝶々夫人」などの声楽が流れている筈だからだが、肝心要で触れたいことは「大正琴は素晴らしかった」ということだった。

大正琴のコンサートということから許可されたものだろうが、文化ホールではない本物のコンサートホール。緞帳の設備がない舞台設定でどのように進んだのかと、音楽に造詣深い人なら興味を抱かれるだろう。

舞台には音響設備と照明も入っている。バックがパイプオルガンなのでホリゾント照明はなかったが、基本的な照明が準備されていた。

第一部は「友弦流大正琴」の世界で、ピアノ、フルートに二人のヴァイオリンが入り、約60人の大正琴の演奏が始まった。春夏秋冬それぞれの童謡メドレーを交え、1景から5景の邦楽まで一気に進んだのだが、季節の景が変るたびに大正琴の演奏者の皆さんも変わられ、上手に行かれたら下手から別の60人ぐらいが 登場されたのでびっくりした。

そられが確か4回あったと記憶しているが、衣装のカラーだけを替えていたとしても120人が必要で、それぞれが別の方々とすれば240人ぐらいになるのだから迫力があった。

オープニングの「我が良き友よ」から始まった演奏だが、「涙そうそう」の時に三味線の家元さんが参加され、「さんしん」のイメージが素晴らしかった。

学校の音楽の時間で習得した音階は一般的なもので、中には「四七抜き調」というものがあり「ファ」と「シ」がない世界だが、沖縄の音階はこれらとまた違っ て「レ」と「ラ」が抜けているので独特の感じがするが、その雰囲気を「三線(さんしん)」風なアレンジにされていて感心した。

第二部は「中村美律子」さんが登場されてアルバムと新曲を歌われたが、第三部の「大正琴と酔歌隊」の演奏で彼女が歌われた懐メロの世界は秀逸で、遠い昔を思い出しながら旋律に心の扉を開いていた。

シンセサイザーがお二人、それにギター、エレキベース、ドラムという編成だったが、大正琴という楽器を大切にするようなアレンジで、ドラムとベースの刻む リズムが「ジンタ」調ぽく奏でられ、「中村美律子」さんらしい声量ある歌声が見事にマッチ。この編曲を担当された方に拍手を贈りたい。

ギターの奏者が中々のレベル。ギターを始めるきっかけの大半は「禁じられた遊び」の曲が弾きたくてだそうだが、私は古賀メロディが弾きたくて始めた過去があり、「酒は涙か溜息か」や「湯の町エレジー」は十八番の世界。他の人達とは違った思いで耳を傾けていた。

「湯の町エレジー」が世に出たのは私が生まれた年の翌年で、ラジオから流れるのをいつの間にか覚えたようで、3歳の頃には「リンゴの唄」との2曲をレパート リーとし、近所の家を訪れては仏壇の前に進み、好物がお供えされていると一礼してから歌っていたそうなので当時から現在の職業に「えにし」があったかもし れない。

「湯の町エレジー」のレコーディングでギターを演奏されたのは作曲者ご本人である「古賀政男」さんという説もあるし、一方で美人女優として知られた「山本富士子」さんとご結婚された「山本丈晴」さんも収録に参加しておられたと言われている。

第三部オープニングの「人生劇場」は大正琴なくして成り立たないと言えるし、古賀さんが関係されていた明治大学マンドリンクラブの演奏を聴いたこともあり、大正琴のトレモロが往年の古賀さんを髣髴されてくれた。

男性司会者も間違いなく本物のプロだった。緞帳のない幕間を言葉でつなぐひとときもあったし、有名な徳光氏の「あー」「えー」とつなぐ聞き苦しさもなく、最近の司会者に多い「思います」の言葉も一切なく、司会者は究極のサービス業だと再認識する思いも抱いた。

友弦流の家元である「植山繁子」さんと「中村美律子」さんのコラボの中で、2コーラス目を家元ご自身が旋律を担当されたことも素晴らしく感じたし、「無情の夢」「男の純情」「逢いたかったぜ」「涙の酒」「浪曲子守唄」「釜が崎人情」「柿木坂の家」「帰ろかな」など、本当に懐かしい至福のひとときを過ごせ た。

結びになるが、家元さんに「あなたの演奏は本物のプロでした」と書いておこう。そして、大正琴の世界が広まりますように手を合わせ、秋の歌舞伎座でまた「中村美律子」さんとご一緒されると伺い、大成功を迎えられますよう祈念申し上げます。

今日の写真は上述のコンサートのひとこま。「友弦流」のHPから拝借を。
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