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2005-01-08

誕生の背景  NO 1030


 ご出棺をお見送りし、司会台の上に置かれてあった資料を片付けている時、初老の女性の方から「名刺を頂戴」と言われた。

 「私、無宗教の葬儀で送られたいの。今日の音楽、最高。私の葬儀、あなたに任せる。お願いしますね」と握手を求められてびっくり。

 「私の方が先に逝くかも知れませんから」とお返し申し上げると、「ダメ、絶対にあなた。帰って子供達にお願いしておくから」と笑顔まで。

 この葬儀は無宗教ではなく、お寺様が入られた一般的な形式だった。

確かに他社が絶対使用しない音楽演出や「司式」的な進行を行ったが、そんなお言葉に至った結論は、駐車場までお見送りした際におっしゃられた次の言葉にあったように思っている。

 「私、団塊の世代よ。これからの時代の葬儀は、これよ。お願いね」

 そう言われても、相手様は何処の何方様かが分からない。しかし、それ以上踏み込んで会話を進めることが出来ないのが我々の立場。<長生きしなければならない>と責任を感じながらお車を見送った。

 そんな私も団塊世代。過去に担当させていただいた講演でも団塊世代の方々の質疑応答を積極的行ってきたが、そんなニーズを「かたち」として具現化させたのが「慈曲葬」。

新聞の一面にカラー記事として採り上げられた「2000年の春」のことを思い出すことになった。

 慈曲葬は、決まった「かたち」がないのが特徴。お客様の思いを拝聴してから創り上げるのがコンセプト。100人100様という意味がここにあり、<それぞれの人生が異なるなら、それぞれの送られ方も異なる筈>という私自身の思いをプロのサービスとして構築したもの。

  世に提案してから5年の月日、それらはご体感くださった方々の「口コミ」から広がり始め、多くのお問い合わせを頂戴するようになってきた。しかし、それに 伴って辛いこともある。1日に何件も担当出来ない物理的な事情が。裏側に秘められた工程が半端じゃなく、ないものを創作するという時間と労力が大変なの だ。

 描いたシナリオを提供するには何よりキャスティングが重要。司会は何とかなるが、音響、照明、演出、音楽、映像、スタッフなど総合 的なプロデュースが欠かせない。そんなプロ達との長い月日の交流があって生まれた「慈曲葬」。だからこそ「商標登録」という知的所有権に至ったのである。

 反感を承知で書くが、業界に登場してきた「一級葬祭ディレクター」では絶対に無理な世界。技術より「心」という内面性がプロでないと不可能なレベル。だからこそ日本トータライフ協会のメンバー達しか実践出来ない訳である。

  慈曲葬は日々に進化する。お客様のお声やご要望を伺っていくと、どんどんグローバルになってくる。一年後にどんな形式になっているかも想像出来ないが、間 違っていないと確信することは、何より故人に対する礼節を重視していることで、「癒し、慰め、命、やさしさ」がキーワード。

 くどいほど書くが、完成するに至った背景に「初孫の誕生」があり、それは「命の伝達」が初めて解った瞬間(とき)であった。
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