2007-10-10

新たなスタート  NO 2001


  1000号から2000号までの間に、2回の入院があった。1回目は2年前の初夏。久世塾を開講中に咽喉に異変を感じ、ずっと続いた微熱から数日点滴を受 けていたが治らず、<ひょっとしたら扁桃腺!>と思って耳鼻科へ行ったらカメラ撮影から「すぐに大病院へ行きなさい」と紹介され、黒い服装のままで大阪赤 十字病院に行った。

 それまで水を飲む際にも激痛を感じ、数日間、何も食していなかったのでふらふら。午前11時頃から広くて満員の待合室で、ひたすら名前を呼ばれるのを待っていたが、あの時の辛さは言葉で表現出来ないほどのものだった。

 自分の名前を耳にしたのは午後5時半頃、100人ぐらい居た待合室も数人だけ。「は~い」と届かないような小声で手を上げると看護師さんが「あら、大変」と、車椅子を用意してくださった。

 やがて運ばれた診察室、また内視鏡で苦しい思い。「これは、だめだ。食事は不可能。入院です」と先生のお言葉。そのまま入院することに。

 ベッドに寝ると、すぐに点滴が始まり、何度も採血をされたが原因が分からない状態だった。3日目、「採血の分析で原因が分かったよ」とニコニコ顔で先生が病室へ。そこで聞いた病名に衝撃が。何と、栄養失調だったからだ。

 数日間、食事をしなかったからどんどん炎症がひどくなったよう。診断は「鉄分不足」で、それが私の身体で最も弱い咽喉の部分に炎症を引き起こしていたのである。

 原因が分かれば治療は早く、点滴による鉄分補給で信じられないほどのスピードで回復。入院の日から1週間後にめでたく退院となった。

 しかし、そんな私の身体の中で、いつからか忍び寄っていたおかしな兆候が表面化してくるなんて予想もせず、やがて次の入院手術につながっていった。

  布団の上でうつ伏せになって新聞を読んでいたら、何やら腹部で拍動感を覚える。<こんなところに心臓はないのに?>程度に思いながら着替えて出勤。看護師 資格を有するチーフ・パーサーに症状を話すと「すぐに病院へ行ってください」と言われ、彼女が言った予想もしなかった病名に衝撃を受けた。

 すぐに自宅前の医院へ駆け込み、その病名の検査で超音波で確認すると、「間違いありません。立派に病気です。しかし、自分から発見したなんて嘘みたいな話です」と先生が。

 先生は循環器のご専門、その病気について詳しいことを伺ってショック状態で帰宅。ネットで情報を確認したら目の前が真っ暗になる思いがした。

 やがて、会社の近くの病院でCT撮影をしたら大失敗。造影剤のすべてが腕の中に漏れて大変なことに。お陰でCTは造影剤なしの状態で写っていた。

  そこでの病院とのやりとりも「独り言」に書いたが、ひとこともクレームや叱責することもなく「人とはミスをするもの。あなたの表情を見たら大変なこと仕出 かしたと書いてあります。今後はミスをしないように」と帰ってきたが、三角巾で大層な恰好で帰社した姿にスタッフがびっくり。「それで怒らなかったのです か!?」と言われたが、「ミスを犯した側の心情を考えてみなさい。あなた達もミスをしないように」と伝えたら「信じられない」と呆れていた。

 その後、また大阪赤十字病院を紹介いただき、そこで心臓外科部長の先生の診察を受け、様々な検査データーが病院のコンピューターに登録され、次のように説明を受けた。

「あ なたは、立派な腹部大動脈瘤という病気です。高血圧、喫煙、動脈硬化、ストレス、遺伝性などの原因が考えられますが、問題は、ここに至ったまでの期間が不 明ということです。20年前からか、1年ほど前からかは分かりませんが、ただ心臓の近くでなかったことが幸いであることと、他の部分には兆候が認められな いのでラッキーですね」

「直径が6センチになったら手術を勧めます。しかし、5センチでも安全とは言えません。世の中には8センチや10センチの人も存在しているのですからびっくりします。あなたの場合は4.8センチです。定期的に大きくなっていないかをチェックする必要があります」

「こ れは、医師として告知することですが、あなたのこの病気に関するデーターは、すべてコンピューターに登録されました。今日、あなたにお渡しする診察カード を常に携帯され、どこかで腹部に急激な痛みがあれば早急に救急車でやってきなさい。破裂出血から20分以内なら50パーセントは助かります。しかし、助 かったとしても出血した痕跡が大変だと覚悟してください」

「これからの生活で注意しなければならないことがあります。机の角に当たっても破裂する危険性があります。また、ゴルフや野球の最中にボールが当たっても恐ろしいですし、電車内では誰かの肘が当たっても大丈夫なように、常にガードする心掛けが必要なのです」

  パソコン画面に映し出されたCT画像を見ながら、そんな説明を受けたら誰でも貧血気味になってしまうだろう。「しばらくは大丈夫でしょう」と言われても、 その「でしょう」に保障はなく、出張の多い私にとっては「20分以内」という言葉が何より強烈で、引導を渡されるような思いがした。

 そんな経緯で一昨年の春に手術を受け、入院した日にケア担当の女医さんから言われた言葉で禁煙することになり、現在の中トトロ体型に至っているのである。

 それまで、1日にハイライト2箱というヘビースモーカーだった私だが、スパッと禁煙決断に至った女医さんとの出会いに手を合わせている。禁煙を目指しておられる方々のために、その時にアドバイスされた言葉を次に紹介申し上げる。

「あ なたは大きな病気で大手術を受けます。しかし、医学と薬品の発展で痛みは一切ありません、。それは、手術中の麻酔だけではなく、集中治療室からこの病室に 戻られてからも同じです。つまり、今の医学は痛みというものを抑えることが出来るのです。でも、残念ながら苦しさを抑える薬はありません。この病院にタバ コを原因として肺の病気で苦しんでいる患者さんがどれだけおられるかご存じですか。肺気腫や肺ガンなど肺の疾患は大変な苦しさを伴うのです。これを機会に 禁煙しなさい」

 入院した日の体重は、62キロ。退院時に58キロキロだったが、今、67キロを超えている。

昔に痛めた頚椎に、この手術によって苦痛を伴う症状が出てきてしまったが、「ご仏縁」に結ばれる方々のアドバイスやご紹介で、感謝、感謝の治療を受け、改善の道にある幸せを感じている。

 病気のことばかり書いたが、今年に迎えた「華甲」の齢、果たして3000号を発信することが出来るのだろうかと思っているが、まずはその日を目標に病気をしないように節制を心掛け、あつかましくも<生かされますように!>と手を合わそう。
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