2017-11-24
迷信、俗信 NO 8038
親に先立つ子供の死を最大の親不孝と考えていたのが古い時代からの中国の慣習だが、そんな慣わしが我が国にも入って寝強く土着している現実もある。
知人が義理の娘さんの葬儀に参列したらその問題が話題となり、参列されていた親戚の方々の中で問題になったと語っていた。
迷信や習俗が土着してしまうと宗教より強いという指摘もあるが。あっては欲しくない非日常的な葬儀に関しては様々な「習わし」に左右されていることも少なくなく、ネット社会やAi社会の到来にあってもまだまだ影響を及ぼしているようだ。
葬儀に遺族の女性が和服の喪服姿を目にすることが多いが、嫁がれて来た時は「白無垢」で、何色にも染まりますという意味合いもあると語り継がれているが、夫を送られる伴侶が喪服ではなく白の和服で送られた姿を何度か体験したことがある。
それは「あなたに嫁いで来た時のように『白』でお送りします」という貞節を表す姿だと言われているが、そんな慣習の中で大変な揉め事に巻き込まれたことがあった。
葬儀を終えてご出棺という時だったが、霊柩車に続くハイヤーに乗車された喪主を務める奥さんに「火葬場に行くべきではない。行くということは再婚の意志を表明することだ」と夫側の親戚が奥様の火葬場への随行に抵抗されており、同乗されていたお寺様も出て来られて「そんなことは迷信です」と説得されても納得されず、そんな騒ぎの成り行きを興味本位的に見学されている会葬者が増え、ご出棺が遅れそうなのでマイクロバスや霊柩車の運転手さんも困っていた。
仕方なく割って入って収めることになったが、説得のために用いた言葉は次のようなことだった。
「故人がご安置された霊柩車の前で『再婚』なんて不謹慎ではありませんか。ここで大切にしたいことは『後悔』と『心残り』で、喪主を務める奥さんが迷信から送ることが出来なかったらこれからずっと後悔されることになります。送られて『何という妻だ』と中傷されてもきっと耐えられると考えます。この霊柩車の中におられるご主人のことを考えましょう。共に送って欲しいか、それともここで見送って『最期を見届けるのに送って欲しかった』と思われたらどうなるのでしょうか?」
そこまで行った時に高齢の方が「そうだなあ」と納得され。奥様は位牌を手に火葬場へ出発することになった。
この時の私の立場の心境は、決してフェミニスト的な発想ではなく、検察、弁護士、判事的観点でもなく、ただ誰が決めたか不明な言い伝えに流される現実の愚かさを訴えたかったからであった。
過日にタクシーの車内映像から全国的に有名になった若い弁護士がいたが、浅学な私でも知る「公序良俗」という言葉の存在も理解しない弁護士もいるようで嘆かわしい。
葬儀には様々な慣習が影響するのも事実である。ニュースで北海道全域で航空管制に不具合が発生し、離着陸が不可能となっていると伝えていたが、何が起きたのだろうかと心配する。
今日の写真は函館空港で撮影した一枚を。