2003-10-19

神風タクシー    NO 580

 新大阪駅に行くのにタクシーに乗った。

 いつもは天王寺から特急「はるか」に乗り、新幹線乗り継ぎの割引料金で、阪神高速の通行料金より安く行けるが、今日は、時間の関係で日曜日ということから、車の通行量が少ないのでタクシーを選んだ。

 「お急ぎですか?」 ドアが閉まると、すぐにそう言われ、「出来たら」と応えてしまったのが悪かった。

 確か、「タクシー」という人気のフランス映画があったが、彼の車に乗り合わせたような体験で、車線変更は序の口、黄色信号で交差点に突入するわ、新御堂では100キロを超える猛スピード。お陰で寿命が縮まった。

 この運転手さん、前方の信号が赤となると、やたらに手前の道に入って行くが、そこで少し進むと赤信号にぶつかるのは常識。ご本人は、それでも<何とか速い道を>と思っておられるようだ。

 知り合いに個人タクシーのおじさんがいるが、このおじさんの長年の経験からすると、渋滞は別として、大都会では出来るだけ直進コースを走行するのが結果的に最速とのこと。つまり、信号の数を少なくすることが知恵という訳。
今日の運転手さんは個人タクシーではなかったが、無事に着かなかったら「故人」タクシーになるところだった。

 さて、タイガースが2連敗。ダイエーが強いと言えばそれまでだが、甲子園での巻き返しを期待している。

 出先のレストランで食事中、隣の席の3人連れが、タイガースについて論戦を始めた。

 「星野監督の勇退が世間に流れたのがすべて。選手に悪い影響を与えているのだ」

 そう言った意見に、一人が反論する。

 「常識で考えてみろ、シリーズの前にそんなことを公表する筈がないだろう? あれは、シークレットの話を誰かが流してしまったということだよ。絶対に漏洩だ」

 その意見、妙に納得することになったが、時計を見れば出発の時間。話の続きが聞けなくて残念だったが席を立った。

 タクシーの運転手さんも、レストランでの人たちも、人それぞれに自分が「そうだ」という意見を持っている。それが争いの元になったらいけないが、個性というものは尊重しなければならないと思うし、それが絶対に誤りと考えるなら、納得に至る説得力で対抗したいもの。

 個性というものは、時に「固」性となってしまうもの。人は、自分がかわいくて「寂しがりや」である。それに耐えることが出来なくなった時、他人に同調を求める行為に走ってしまう。

 そこで同調されない時、相手の所為に考えるタイプが困りもの。そんな「個性」は相手に「固性」と受け止められ、いっそう「孤独」の道を進み「孤性」に至る。

 孤独の「孤」という字は、弓なりという意味がある。自身が曲がっていないか考えてみたい。人は、何れ、誰でも「故」になるのである。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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