2002-06-06

故人の遺志    NO 97

真夜中に電話があった。相手様は私の古くからのお知り合い。30数年間もの永い歳月、お店を共にやってこられた大切なご友人が亡くなられたそうである。
 
 享年55歳。私もよく存じ上げている方で、素晴らしいお人柄に、多くのご友人達に恵まれたことが最高の財産という方だった。

 葬儀の形式は、ご本人の強いご要望で「無宗教形式」。今、明日の前夜式と明後日の告別式のシナリオを完成したところである。

 お寺様での大規模な「社葬」や、ホテルに於ける「偲ぶ会」や「お別れ会」と異なり、ご遺体のあられる無宗教形式のご葬送は大変で、単なる進行係としての司会ではなく、「司式」としての立場で、厳粛なご終焉の儀式を構築している。

 シナリオ制作時間は、大規模な社葬でも1時間で完成するが、今回は完全な特別オリジナルバージョンとなり、久し振りに5時間を費やすことになった。

 今、女性スタッフ達が、メモリアルコーナーにお供え申し上げるお写真や、追憶のビデオ編集を進めているが、数件のご葬儀を同時に担当している中での創作で、最も恐ろしいことは心の余裕がなくなるということ。それらは、確実に作品に表現されてしまうものである。

 私が「司式」という言葉を用いると、宗教者の方々からご叱責を頂戴することは確実だが、無宗教形式である以上、単なる「会」や「集い」で終わりたくないということが本音で、それだけ、人の「命」や「人生」というものに重みがあることを理解しているつもりだ。

 ある時、ある宗教者の方が興味を持たれ、私が担当する無宗教形式による葬儀をご体験くださったが、衝撃を受けられ、「確かに司式だ」とご認識いただいたことも事実である。

 日本でこの形式が提供可能な司会者はいないだろう。もちろん、ホテルのブライダル司会者では絶対に不可能な世界である。これらは、プロである日本トータライフ協会のメンバー達が体験の上に認識したことである。

 「命」「愛」「癒し」をコンセプトした「慈曲葬」。それによる前夜式、告別式をご初めてご体感される参列者が大半だろう。「会場空間」がどのように「儀式空間」として神変出来るか、ここが最も重要なところである。

 オリジナルCD「慈曲」のフル活用と言葉の演出。司会はさわやかでシンプルに、司式の部分は重厚イメージで、その使い分けも大切な部分であり、スタッフのフォローこそがすべてという認識がなければ、絶対にご満足を頂戴出来ないと考えている。

 ご遺族、ご参列者とご一緒に、故人をお偲び申し上げながら進行につとめる。その基本的な姿勢も忘れてはならない世界。思い出を形見として差し上げたいとの思いでマイクを握る。

思い出を有り難う・・・・・・・
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