2015-05-24

「かたち」と「心」  NO 4201

http://happy-train.net/ツバメの巣昔から飛行機は嫌いである。高所恐怖症ということもあるが、あんな大きな物体が空を飛ぶというメカニズムが不思議でならず、「揚力」という分析解説が理解出来てもやはり遠慮したい代物である。

沖縄や北海道は仕方がないと覚悟して搭乗したが、新幹線で行けるところは「ジパング倶楽部」の割引を利用している中、航空会社の「早割」なんて発売金額を目にすると列車よりはるかに低い価格設定になっているのでびっくりする。

まだ北陸新幹線は利用していないが、長野新幹線を含めて全ての路線を利用したことになるのでこの世に存命している内に「北陸新幹線」と来年に開通する「北海道新幹線」を利用したいと思っている。

昔、様々な業界からスタッフ教育を依頼されて出掛けたこともあったが、何度か航空会社の「CA教育担当者」と共に講師を担当した思い出もある。

それぞれが与えられた時間で講義をするのだが、彼女達が「かたち」を教えて私が「ハート」を拭き込むケースが多かった。

それがどういうことかをご理解出来ないと想像するので一つの例を紹介するが、「手の位置」「美しく見える礼の仕方」「爪先を広げる角度」などを徹底して指導するのが彼女達の仕事だが、ある大きな葬儀式場から依頼された際、我々2人の指導で面白い出来事があった。

「美しい仕種」「美しい姿」をテーマにしたCAの指導担当者の講義が終り、10分間の休憩時間を挟んで私の担当となったが、受講者の中から一人の女性スタッフを指名し、ロビー横にあるスタッフルームからワンセットの「焼香用具」を祭壇前の机の上にセットして来るように頼んだ。

彼女はCA指導者から受けたテーマを意識しながら、それはそれは美しい姿で歩き、祭壇前でセッティング終わると丁寧なイメージが感じられるように一礼をして下がって来た。

「よかったですね。美しい姿でしたね。100点だと思われる方は挙手してください」と問い掛けると全員が挙手されていたようで、後方に着席されていたCA指導者も満足そうな表情を見せられていた。

「皆さん、残念ですが今のは『0点』なのです。今から同じ方に1分間だけ内緒話をしてアドバイスをします」と言うと場内がどよめくひとときとなったが、やがてアドバイスを伝えた彼女が同じ行動をすることになった。

終わってから「何が違っていたか気付いた方はおられます?」と言ったら8人の人達が挙手をされ、その中の2人の発言を聞いたら同じことで、ロビーから参列者用の椅子のある空間に入る際、一度立ち止まって一礼をしてから祭壇前に向かったという指摘だった。

「これは、ある意味『結界』に関する考え方で、自分で普通でない空間に入るという『神変』を表わす行動仕種で、気付かれた方もおられましたが、本題はもう一つ重要なことがあるのですが、お分かりの方は?」

残念だったが誰も気付かなく、その答えを私が伝えることになってしまった。

「祭壇前で最初にされた一礼は祭壇に対して行われたものであり、2回目の一礼はご本尊やご遺影に対するものでした。2回目の時は後方から見られても視線が上を見られたことがはっきりと感じられた筈です。日本の礼節は『後ろ姿』という文化の背景も考えてください」

そんな説明をしたら受講者が驚かれていたが、この会社の社長が「それなんだよ」というような嬉しそうな表情を見せられたのが印象的だった。

今日の写真は「金子みすゞ」記念館の天井にあったツバメの巣。卵があるみたいで1羽が中、1羽が写真のように外側にいた。
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