2002-11-05
ご遷化に合掌します NO 247
永いお付き合いの中で、様々なことを教えてくださったお寺様がご急逝された。
真宗大谷派のご住職で、頭髪を毎朝剃られるというお方だった。
ご住職は、弊社の事務所にお立ち寄りになり、よくスタッフ達に食生活についてのご講義やヨガのご指導までしてくださり、自らも玄米食を中心とする食生活を送って来られていた。
コー ヒーをお出しすると、「シュガーは必要ありません。砂糖は身体によくないですよ」とおっしゃり、子供達の糖尿病や腎臓病など、大人の病気が子供の世界に広 がっていることを懸念され、「雑魚を食べなさい」「カルシウムが重要ですよ」と拝聴したことが、つい昨日のように思い出されてくる。
様々な活動にも積極的に取り組まれ、何度か東京までご一緒したことがあるが、新幹線の中でご講義くださった「宗教者のありかた」は、ご住職らしいご信念として素晴らしいことだと思っていた。
そんな中に印象に残っていることがある。それは、納税協会の役員を永年つとめられており、宗教法人の納税についての哲学を説かれ、毎年、年末調整の時期がやって来ると多くのお寺様のご相談を受けられ、「対応に忙しい」と言われておられたこと。
ご導師をつとめられる時のご声量にパワーがあり、暑い時期には額にいっぱい汗を流されておられた光景を何度も見た。
ある時、ご住職の檀家さんがホテルで社葬を行なわれることになり、スケジュールの確認に伺ったことがあったが、「ホテルで葬儀を? えらい時代になったものですね」と驚愕されておられたことも懐かしい。
私は、このご住職に感謝申し上げることがある。それは、福祉など生活に苦しい方々のご葬儀に、いつも信じられない低額なお布施で快くご導師をおつとめくださったことで、時には、ご遺族が手渡されたお布施を、そのままお供えされたこともあられた。
そんなところから、真宗大谷派のご葬儀に必要な「紙花(四華)」を、私の手作りでご用意申し上げたが、あまりよい出来栄えでないのが申し訳ないところで、なにとぞご海容くださいますように願い上げてきました。
そうそう、ご住職が講演された時のお話に、面白くて興味を抱いたことがあるので紹介申し上げる。
「檀 家さんのお家を訪問しましたら、年老いた猫がおり、腰が抜けたように引きずって動いていたのです。ご家族から伺ってみると、いつもペットフードを与えてい るそうで、私はダシ雑魚やちりめん雑魚を与えなさいと教えました。なんと、その猫は、それから1週間で元気に歩けるようになったのです。自然食、カルシウ ムが重要ですよ」
ご住職の還浄に、心からなるお念仏にてお偲び申し上げ、感謝の合掌で葬儀を担当させていただくつもりである。