2006-11-08

不思議な出来事!?  NO 1681  


 昨夕に雷鳴と同時に久し振りの雨、それも豪雨というように強烈だった。深夜から未明にかけては強風、大阪市内でも20メートルを越す木枯らし一番。道を歩いていると電線の鳴る音と木の葉が舞う光景ばかり、冬の季節が近いことを感じながら会社へ向かった。

 北海道で竜巻による多くの死傷者のニュース、この仕事に従事するようになってから風に恐怖感を感じる私、いつも天気予報が気になっているが、先にあった九州の延岡など、我が日本の国でこんな恐ろしい竜巻が発生するとは恐ろしいことだ。

 シーンで行われていたご葬儀、重なった行事から地域会館が使用出来ずに会場変更された事情があったが、もしも会館だったら最も風の影響を受けるところ。受付に座っていることも出来ず、役員さん達がテントのパイプを押さえていることになっていただろう。

「ここで出来てよかった」とお帰りの会葬者の皆さん。そのお見送りをしてから大手ホテルの支配人とお茶を飲んだ。見るからにホテルマンというような若い男性を伴っていた。「期待している若手なんだがミスが多い」との嘆きを耳に、ちょっと説教をしてしまった。

 彼に伝えたことは二つ。ミスに対する謝罪のエネルギーの大きさと、自分がそんなミスを犯してしまう危険性のある性格であることを自覚することだった。

マンネリの中で発生するミスは、やがてダブルミス、トリプルミスに進化する危険性がある。一人が犯した単純なミスを誰も発見しない空気が生まれて来るからだ。

 さて、今日は、ちょっと「長編」になるが、昨晩に起きた不思議で「超変」な出来事を書くことに。

 退院してからずっと痛みに苦しんでいる後遺症だが、CT、MR検査を経て、あちこちの病院や整骨院の先生方のお世話になって辛い常態が続いている。頚部の痛みは随分楽になったが、ひどいのが左肩から上腕部。何かの拍子に指先まで痺れるのだから困っている。

 いつものように眠る前に服用する薬を呑み、布団に入った。電気絨毯の温かさが敷き布団に伝わり心地良い状態。枕元のスタンド明かりで読んでいた本をいつの間にか落とし、電気を消さずに眠ってしまっていたらしい。

 それからどれだけ時間が経過したのかは分からないが、あまりの痛みで目が覚めた。傷む左腕を下にした状態で眠っていたみたいでひどかったのだろうが、完全に痺れた感じ。

 その時「お痛みでしょう」という女性の声が聞こえた。それは廊下の方から聞こえ、スタンドの明かりの及ばない付近に誰か女性が立っている。その姿は妻ではなく、声も全く別人だった。

「さあ、参りましょう。ご一緒に」と言われて不思議なことが。信じられないだろうが何かの本で読んだ幽離状態みたいな現象に巻き込まれている。記憶している光景は、自分が自分から抜け出て自分の寝ている姿を見ているというもの。

<夢?>と思った瞬間に「夢ではありませんよ。では、参りましょう」と手を引かれ、自分が幽体みたいな状態でフワーと浮き上がり、何か綿菓子のような甘い香りに包まれる感じで白い世界を舞い上がって行く。

 過去に49日間を題材にした小説「あの世の旅」を書いたが、その物語のようなことが現実に起きている。間違いなく「あの世」への旅立ちという雰囲気。ただ小説と全く違ったのが、すぐに着地することになったこと。

 トンネルや山もなく、三途の川を渡ることもなく、緑いっぱいの田園風景の草原に降り立っていた。

 そこで女性の顔も姿もはっきり確認できた。<どこかで?>と思い出したのが入院していた病院の看護師さん。手術後に麻酔から開放されて初めて見た人物。服装もそのままだった。

「驚かれたでしょう。そうですよ、あの時にお会いしましたね」

 入院時のことを考えてみたが、彼女を病院で見たのはその時だけ。手術室の担当だったのかもしれないが、その時の出来事は入院当時の過去ログ3月から4月に掛けてにあるのでお調べを。

 自分が存在している場所は、間違いなく別世界である。他に誰の姿を見ることなく広い草原の中を歩いているだけ。聞こえるのは心地良い自然の風なんて表現したらおかしいが、何もかもすべてが自然そのものとしか言いようがない世界。

 やがて、彼女がやさしい眼差しでこの出来事について説明を始めてくれた。

「これから、あるところへ参ります。そこでお待ちになっているお方がいらっしゃいます。あなたにとって何より救いとなるお方ですからよかったですね」

不思議な発言があった。「待っている」「救い」「よかった」とはどういうことだ。それよりも、まずは<自分が死んでいるのではないか>を確認すべきと質問をしてみた。

「死を迎えておられることも事実。生あられることも事実。ただ言えることは、この世界には死も生もございません」

  何やら書いた小説みたいになってきた。あの時の49日は「中有(中陰)」のこと。七日間を一生涯の区切りとして七日毎に裁判を、という十王経をテーマにし た物語りだったが、それぞれの裁判官達と出会い、各裁判所を廻る際にはそれぞれの案内人がいてくれた内容。それからすると、彼女は案内人。そして「待つ」 という人物は「あの世の裁判官」ということになる。

「小説のことからご想像を膨らませておられるようですが、決して裁判官ではございません。今のあなたにとって、そのお方を最も歓迎されることになるでしょうから」

  また不思議なことが分かってきた。思っていることを全部読まれているということもあるが、さっきは「お待ち」と言ったのに、今度は私が「歓迎」と変化した こと。ますます理解出来ない出来事だが、美しい女性と共に未知の世界を歩くことに恐怖感を抱くこともなく、それは過去に書いた小説の影響ということは確か だし、夢でも何でも最後まで見届けてやれという心境にもなっていた。

 ドイツやスイスの草原地帯のような風景、映画「サウンドオブミュー ジック」が思い出されてくる。ドレミの歌の部分を思い浮かべながら、彼女の姿を見ると看護師の制服の色が変わっている。さっきは薄いブルーだったのに、今 はピンク。ふと「白衣の天使」やクリミア戦争の「ランプの天使」の言葉も浮かんだが、彼女は何も言葉を出さず、やがて前方に見えた真っ白い建物を指差し た。

「着きましたわ。屋根の上をご覧ください。お気付きですか?」

 小高い丘の上に教会風の建物があり、その屋根の上には真っ赤な色の十字架が存在している。20段ぐらいの階段を上がると入り口があり、彼女が「さあ、中へお入りください」
と扉を開けた。

 中央に長い廊下があり、左右それぞれに部屋が並んでいる。その中で一室だけ特別に明るい光りが感じられる部屋があり、彼女はその前に立ってノックをして「ご到着です」と声を掛けた。

「私の任務はここまでです。後は中でお待ちのお方とお過ごしくださいませ」

 そう言って扉を開けてくれた彼女は、そのまま入ってきたところから何もなかったように出て行ってしまった。その瞬間、心細くなった私、恐る恐る部屋の中を覗くと奥の方に大きな机があり、白衣を着た高齢の男性が手招きをしている。

「よく来たな。待っておったぞ。大変じゃったな。疲れたじゃろう。ここへ座りなさい」

 確かに「疲れたじゃろう」と言った。ということは死んでいる世界ではないということになる。そんなやりとりがあの小説の中にもあった筈。そう思うと少し気が楽になった。

「痛 みがひどいようじゃな。病というものは原因を究明せんと治しようがない。最も困るのが誤った診断による誤治療じゃ。それで悪くなったら気の毒ではないか。 そこでじゃが、まずは自己紹介と参ろうかな。わしはな『この世』の医師でな、お前さんから言えば『あの世』の医師ということになるが」

 驚きの事実である。ここは、やはり「あの世」であった。寝ている間に死を迎えてこの世界にやって来たということになる。自分で書いた小説とは全くことなる道中だったが、地獄でないことだけは確かなようで安堵の心情。

「では、診断を始めるぞ。あそこを見よ」

 室内の照明が暗くなると同時に、側面の壁の一部が白く変化。100インチぐらいの大きさで何か映像が映し出されてきた。

 手術着を身に着け、紙の帽子を被った患者らしき人物が手術台に上がろうとしている。それを目にした瞬間にびっくり仰天、何と自分自身であったからだ。

「分かったようだな。その通り、これはな、君の手術の録画だ。どこかでミスをしていないか診断をするのだが、衝撃的な部分はモザイクが掛かるので心配ない。自分で気付いたことを憶えておきなさい」

 手術台で仰向けになったと同時に麻酔担当医師達が活動を始め、しばらくすると完全に意識を失った自分自身が映っている。そして執刀医が「始めます」と言ってメスを動かすところでモザイクが入った。

 そこで気分が悪くなってしまった私、ということは、これまた死んでいないということになる。そこでノックする音が聞こえ、さっきの女性が入って来た。

「どうぞ、これをお飲みください。ご気分がよくなりますから」

 何やら非常に咽喉が渇いており、盆に載せられてきた透明の飲み物を口にしたが、何かは不明だがフルーツ系の味。すぐに眠くなるような感じがして、しばらくしてから気分爽快になるような効力を実感した。

 画面を観ると、もう手術は終わっていた。ということは、数時間を眠っていたことになる。

「手術そのものには問題はなかったようじゃ。それはこの私が保証する。手術前、手術後の映像を目にして何か気付いたことはあるかな?」

 手術後と言ってもまだ意識が戻っていない状態。そこから術後の専用ルームに運ばれて行く光景もあったが、やがて、あの世の医師が診断の結論となる言葉を発した。

「よいか、この光景をしっかり見なさい。君の頚部から左肩上腕部の痺れや痛み。実は、これが原因で起きたということじゃな」

 麻酔から完全に覚めて意識が戻った時のことを記憶しているが、両手が指先まで痺れており、それが退院後もずっと続いたことから整形外科の診察に進んだ経緯があるが、あの世の医師は、その原因を次のように解説してくれた。

「呼 吸器官から麻酔薬を入れる場合、人によって喉頭部分に問題があることも少なくないもの。君の場合には入り難い体型という事情があり、この映像がはっきりと 物語っているが、入り易いように非常に高い枕を使用せざるを得なかったようじゃ。これで6時間も固定状態となれば昔の古傷が再発するのも当たり前、若かり し頃の交通事故で痛めた頚部の神経圧迫がその原因じゃ。だから、明日から、その旨を医師に伝えて治療をして貰えば完治するじゃろう」 

 納得に至る見事な診断解説である。信じられないような高い枕で寝かされていた事実。それは止むを得ない事情からだったが、原因が分かれば最速の治療方法が行える。

「ど うじゃ、わしは名医じゃろう。ここでは医療ミスの発見なんて簡単なこと。何と言ってもすべてが映像収録されているからじゃが、人間界で医療ミスを隠匿して も、この世に来たらどうにも隠せないという訳じゃ。そうそう、肝心のことを伝えておかなければならない。君がここへ来たのは招待じゃ。この世へやって来た 人達の推薦で診断をすることになったのじゃ。是非感謝の心を抱くように」

 そこへ彼女が待ち構えていたように入室してきた。そして、またも飲み物を差し出した。さっきと異なる色のもの。このあたりは過去の小説とよく似たストーリーだが、これが治療薬でありますようにと祈りながら呑んだところが異なっていた。

「いつか再会をいたしましょうね」と言った彼女の声で記憶が全く薄らいだ。気が付けば目覚まし時計が鳴っていた。
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