2004-06-17
司会の文法? NO 824
「が・の・を・に・へ・と・・・」と書けば、それが国語で言われる「格助詞」だと直感されるだろう。
司会者達への教育に際し、この「格助詞」の重要性を教えることも欠かせないカリキュラム。ある講義で、受講者の中の数人を指名し、ロールプレイング的「お遊び?」を試行してみた。
「新幹線『のぞみ』の車掌さんになったと仮定し、乗客へのアナウンスをやってみましょう」という仕掛けだが、東京駅発で博多行き。出発時刻、停車駅などを表記したプリントだけは用意しておいた。
過去に書いたが、司会者にとって大切なことは、突然に与えられた情報を瞬時に伝達する能力が求められるということで、我々日本人が英語で喋る前に、頭の中で構成を組み上げる方式が否定される世界でもある。
それぞれの司会者が、それぞれのパターンでアナウンスを始めたが、トップバッターが緊張するのは当たり前。それらは最終者の順になった頃、やっと内容が整理されてきた。
「本日は、新幹線をご利用・・」「本日も、新幹線をご利用」と、冒頭にコメントしていた「は」「も」のニュアンスの異なりを、まずは指摘をする。
「本日は」なら<今日、初めて利用した?> 「本日も」なら<何度も利用している>と伝わり方が異なる筈。葬儀の場合、「本日も、ご会葬」なんて発言したら終わりだが、ここに面白い問題が秘められている。
新幹線では、「今日も」というコメントが使用されているから。
トーク技術は別として、受講者達それぞれが思い思いのアナウンスをやってくれたが、そこで次のステップに進める。
「そのアナウンスは、車掌室からですか? それともお客様を前にした車内のイメージなのですか? それともマイクだけを前にした録音なのですか?」という質問だが、全員が車掌室のマイク使用を前提としていた。
「では、乗客を前にしてというバスガイドの立場と考えてやってください」が狙いのテーマ。
ここで感じたことが「アナウンス調」に捉われ過ぎ。中には私が最も嫌う「観光案内型」まで出てきた。
こんな研修の場合、マイクの使用、未使用で大きな変化が出るのも事実。その原因を理解された司会者が急激に技術アップに至る。
そこで私が「ヒント」として比喩するのがゴルフのこと。スゥイングの際、たまたまボールがあって飛んで行くのが理想のフォーム。
オシャベリして、たまたまマイクがあってスピーカーから聞こえるという自然なアナウンス。そこに「ナレーター」の入り口の門があると教える。
マイクの使い方のテクニックを学ぶには、そこから随分先となるが、この基本を知れば上達が早いのでご参考に。