2003-06-05
昨日と今日の葬儀から NO 451
昨日に担当した葬儀、故人は立派な人生を歩まれた方だが、とても頑固な一面があったそうだ。
まだまだ若く、惜しまれる心情で包まれた会葬者達の声。その中に驚くお言葉があった。
「彼は酒が好きでね。私と毎晩浴びるほど飲んでいた」
それは友人達の座る片隅で耳に入った会話。
「限度があるぞ。身体を悪くするぞ。悪くなったら飲めないぞ」
そんな忠告を何度もされたそうだが、晩年にも飲み続けられ、ついに身体の不調を訴えられるようになった。
病院で検査を受けた結果は、酒の飲み過ぎによる肝臓の悪化。家族からその様子を聞かれた医師は、引導を授けるような強烈な言葉を出した。
「命を取るか、酒を取るか? あなたが決めることだ」
それに対して答えた故人のお言葉。
「酒を取る。酒のない人生なんて考えられない」
それから1年も経たない内に故人となられたが、ご家族や友人達は、「あの人らしい」という思いで送られていたし、お孫さんからは、「お爺ちゃん、天国でお酒をいっぱい飲んでね」というメッセージが添えられた。
一方で、今日に担当してきた葬儀、葬儀委員長をつとめられたご親戚の方の謝辞が素晴らしかった。
学生時代の思い出、学徒動員に駆り出されて戦場で九死に一生を得られた出来事など、参列されるすべての方が耳を傾ける内容深いご挨拶。内心、思わず拍手を贈りたいぐらいだった。
その委員長さんのお言葉、「追憶ビデオがありましたが、そこで触れられなかった秘められた一面をお話させていただきます」で始められたが、故人が法学部に在籍しながら相撲部で活躍、今で言われる学生チャンピョンにまで到達されたというエピソードもご披露された。
スタッフ達がご遺族に伺う取材の際、自慢話になるようなことは話し難いもの。そんなことを学ぶ貴重な体験になってくれたようにも思っている。
葬儀委員長さん、素晴らしいご挨拶、故人もきっとお喜びのことと存じます。有り難うございました。