女優の「八千草薫さん」が亡くなられたニュースがあった。貴品のある女優さんで晩年の「皇潤」のＣＭのお姿が印象に残っている。永遠のマドンナと賛辞される声もあるが、命終を迎えられる瞬間まで完全で最高の女優だったと想像する。

人は年を取ると容貌が変わっていくが、内面のハートの美しさが重ねる齢に影響があるみたいで、彼女は高齢になっても美しい輝きを保たれ、理想的な女性の生涯だったように思えてならず、そこが女優らしき女優と言われたのだろう。

「膵臓癌」だったそうだが、手術を受けられてから肝臓に転移したことが悪かったようだ。私も膵臓に二つの小さな石を持っているので気になるが、「膵臓」の場合は症状を感じた頃には手遅れの状態になっているそうで、肝臓などと共に「沈黙の臓器」と呼ばれているので恐ろしい。

「膵炎」で３回入院したことがあるが、絶食を強いられて点滴による闘病生活になるので最悪の病気だ。

病気には様々あるが、絶食とは辛いもので体験した者にしか理解出来ないものである。私の場合は「アルコール」と「油物」を禁じられているが、１回目はハワイでホテル近くの日本料理店ばかり行っていたのが悪かったみたいで、帰国してからすぐに症状が出て紹介状を貰って大阪赤十字病院の救急外来へ行った。

６日間の絶食で２週間ほど入院して退院となったが、それから３ヶ月ほど経った秋に北海道旅行をして、函館の旅館の夕食時に飲んだ食前酒が悪かったみたいで、青森、八戸、気仙沼と立ち寄ってきたが、東京駅から「ひかり」で帰阪する頃には自分でも悪化していることを感じながら帰宅。すぐに医院で紹介状を書いて貰って前回の病院で診察を受け、そのまま入院となってしまった。

３回目はノンアルコールのビールで乾杯したことが悪かったみたいで、その夜に症状が出て３回目の入院となった。

「また来られましたね」と先生に笑われたが、ノンアルコールビールのことを話したら「車の運転には差し支えませんが、あなたの病気には差し障るのです」と指導された。

ホテルで宿泊するみたいに高額な入院費用を支払い、絶食という闘病生活を強いられることになるのだが、もう４回目はないと気を付けている。

台風１９号が襲来する頃だった。日本公演に来られていたベンチャーズのメンバーが亡くなった報道記事が目に留まった。少し前に体調を崩されて入院されていたが、判明した病気の症状が重篤だったみたいで、来日の中でご逝去されてしまった。

ベンチャーズのエレキギターの影響は私の青春時代と重なり、友人達と楽しんでいたバンドでも彼らの曲が中心だったので忘れられない。

そんなベンチャーズの久し振りの話題を聞いたのは２０年ほど前のことだった。不思議な縁で知り合った音響、照明のプロである人物だが、彼がベンチャーズの日本公演で音響と照明を担当されている年ってびっくり。その年の１２月３０日に誘われて友人の割烹へ行ったが、そこで教えてくれた逸話に感動し、それから私の人生に大きな影響を与えてくれた。

舞台の袖で演奏を眺めていたら、ベンチャーズのメンバー達の表情に異変を感じ、それが舞台に上に置かれたモニターに不具合が発生したことをすぐに察知したそうだが、ベンチャーズはプログラムにあった曲を３曲演奏し、アンコールにも応えて緞帳が下りたのだが、通訳にお願いして控え室に入って謝罪を始めたら、「あなたは謝罪する必要はない。あれは器材のミスだ。器材が謝罪すればよい」とリーダーの人物が行ってくれたそうで、私も素晴らしい美談だと感動し、友人の割烹のカウンターで「よかったなあ」と乾杯をして、新しい年を迎えることになった。

その後、彼には九州で行われて大規模な合同葬や大規模ホテルで行われた合同葬、社葬、お別れの会、偲ぶ会などで音響や照明を依頼していたが、彼のプロらしい仕事への姿勢には学ぶことが多く、ある合同葬の際に祭壇を担当するフラワー会社に行ってデザインのパースを確認しながら照明機材をセッティングする場所の確保に拘っていたことが印象に残っている。

あるホテルを式場とする時だった。司会台のバックにコントロール室を設け、やがて左右３発ずつセッティングされた大型スピーカーのチェックを始め、そこで教えてくれたことが凄いことだった。

会場の奥行きが５０メートルを超えていたのだが、音声がスピーカーを通じて客席に聞こえるには微妙なタイムラグがうまれるそうで、そんな細かいことまで微調整をやってくれていた。

どんな世界にも「プロ」と呼ばれる人達が存在するが、本物のプロとの出会いは人生の宝物だが、プロに共通するのが互いの仕事を認め合う姿勢で、彼との出会いも私の手を合わせる宝物である。

彼の奥さんのお父様の葬儀を阿倍野の天空館で担当したが、その時に想定外のハプニングが発生したことを明日の号で紹介予定。

今日の写真は前々号に続いて函館駅で撮影した「特急スーパー北斗」を。