2013-10-16

命の伝達  NO 3430


 誰も歓迎しない大型台風が過ぎ去って行った。伊豆大島では想像もしなかった被害や犠牲者が出ていたが、台風が齎す大雨とは想像を絶するものである。

そんな台風が関東地方に影響を与えている時間に、孫に電話を入れたら「ちょっと待ってね」と言われて30秒ほど待たされた。「もう随分と落ち着いたみたい」と言うので、外を確かめに行ったことを知った。

 子供は正直という言葉があるが、そんな素朴な行動が子供時代の持ち味のような気がした。

  我々司会者はプロの仕事だが、葬儀の世界にあっては故人のお孫さん達の「お別れの言葉」には絶対に勝てないもの。「お爺ちゃん、有り難う。さようなら」 「お婆ちゃん、有り難う。さようなら」なんて言葉があれば最高だ。それは悲しみに暮れられる式場空間に重要な見事な「命の伝達」と「少しでも不幸でないひ ととき」を与えてくれるからだが、昔から孫さん達に何か手伝って貰うことが好きだった。

 開式前に「献灯」「献花」の奉儀をお願いしたこともいっぱいあったが、参列者が故人に対して「よかったね」という表情を見せられることが何よりで、そんな環境空間を創造するのも我々葬儀社の大切な責務である。

  私には3人の孫の存在がある。前述の孫は3人目で幼稚園に通っているが、アメリカで生まれた2人目の孫が面白い。お釈迦様と同じ誕生日なのだが、時差がど うなっていたかは考えもせず、誕生日プレゼントに要望された地球儀を送ったら、我々夫婦が死ぬまでに会いたい人物がオーストラリアにいる話を覚えていたら しく、電話の度に「オーストラリアに連れて行ってね」と言っていたので、しっかり英語を勉強して我々の通訳という話をしていたが、数日前、急に「オースト ラリアには行かない」と言い出したので驚いた。

 英語の勉強が嫌になったからかと思ったら、地球儀を見て「オーストラリアは南極に近くて 紫外線が強いからガンになりたくない」と言ったので、誰がそんなことを教えたのか知らないが、小学2年生にこんなことを言われたら驚くのは当たり前。最近 の子供はと考えさせられた出来事だった。

 私の葬儀では一番目の孫のピアノ演奏が「献奏」で、「お別れの言葉」をやってくれることを願っている。何も難しいことは言う必要はない。「お爺ちゃん、命を有り難う」と言ってくれたら最高だ。
久世栄三郎の独り言(携帯版)
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